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製造物責任とは?

製造物責任とは、製造物の欠陥が原因で第三者(人)の生命、身体又は財産に損害を被った場合に、製造業者等が被害者に対して負う損害賠償責任のことで、「製造物責任法」及び「民法」などに基づきます。

「製造物責任法(PL法)」における製造物責任

製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

第3条(製造物責任)

要件

  • 当該製造業者等が製造物を自ら引き渡したこと(出荷・流通に置くこと)
  • 製造物に欠陥が存在すること
  • 製造物の欠陥によって第三者の生命、身体または財産を侵害したこと
  • 当該侵害によって第三者に損害が発生したこと(製造物自体の損害は除く)
  • 「製造物の欠陥」と「第三者の損害」との間に因果関係があること

製造物とは

人為的に製造又は加工された動産を意味し、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは含まれません。

但し、ソフトウエアを組み込んだ製造物の欠陥によって第三者に被害を与え、その欠陥がソフトウエアの不具合に起因する場合には製造物責任の対象となります。

欠陥とは

以下の事項を考慮し、製造物が「通常有すべき安全性」を欠いているかどうかを判断します。

  1. 製造物の特性
  2. 通常予見される製造物の使用形態
  3. 製造業者等が当該製造物を引き渡した時期など
    ※安全性に関わらないような単なる品質上の不具合は「欠陥」には該当しません。

製造者等とは

製造物責任法における「製造者等」とは、製品の製造業者を含む次の者が該当します。

  • 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者
  • 当該製造物に製造業者として氏名、商号、商標その他の表示をした者
  • 当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
  • 実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者

「民法」における製造物責任

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第709条(不法行為による損害賠償)

要件

  • 加害者が被害者の権利・利益を侵害したこと
  • 第三者に損害が発生したこと
  • 「加害行為」と「第三者に発生した損害」との間に因果関係があること
  • 加害者に「故意」または「過失」があること
  • (加害者に責任能力があること)
  • (阻却事由(例:正当防衛・緊急避難)がないこと)

契約書における製造物責任条項とは

製造物責任条項とは、「売買契約」「製造委託契約」「OEM契約」などにおいて、製品の買主が顧客から製造物責任に関する損害賠償請求を受けた場合の、買主(委託者)及び売主(受託者)の責任負担について定めるものです。

被害者が損害賠償請求する直接の相手は、製造業者・輸入業者・氏名などの表示者となりますが、最終的な売主(委託者)・買主(受託者)間責任負担については企業間の契約で定められます。

特に、部品や原料を購入し、買主が完成品にして顧客に販売するような場合には、部品や原料の売主と買主との間の責任負担が問題となるので、契約書で定めておかなければなりません。


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レビューにおけるポイント

以下の条文例は売買契約としていますが、製造委託契約などでは買主を「委託者」、売主を「受託者」と読み替えてください。

条文例1「完成品」の売買契約

買主=甲
売主=乙

第●条 (製造物責任)

  1. 甲及び乙は、本件製品の欠陥に起因して、第三者の生命、身体、財産に損害が発生した場合、もしくはそのおそれがあることを知った場合には、速やかに相手方に通知し、甲乙協力して原因の解明にあたる。
  2. 甲が、本件製品の欠陥に起因して、第三者の生命、身体、財産に損害を与え、それによって甲に損害が生じた場合、甲は乙に対し当該損害(甲の弁護士費用及び調査費用等を含む。)を請求することができる。
  3. 前項にかかわらず、当該欠陥が本件製品の製造に関する甲から乙への指示に起因するときは、乙は損害賠償責任を負わない。

ポイント1

単純な売買契約の場合には、買主には製造物責任はありませんから第1項及び第2項の規定で問題ありませんが、特注品のように買主の指示に基づいて売主が製品を製造する場合には、第3項のように売主の免責条項を定めておくことが必要です。

ポイント2

買主であっても製品の検品を怠り、または検品体制の不備によって欠陥を発見できず第三者の生命、身体、財産に損害を与えた場合には、第2項の規定があっても被害を受けた第三者に対する民法415条「債務不履による損害賠償」による損害賠償責任を問われる可能性があります。

また、本件製品の欠陥は買主が保管中に生じる可能性もあるため、欠陥の発生時点を明確にするために「納入」「受入検査」などの条項も重要です。

ポイント3

OEM契約や製造委託契約の場合で、製品の製造は行わなくても買主のブランドを付すことで製造業者としての表示を行ったとみなされるときには、製造物責任法第2条第3項の定めに従い、いわゆる表示製造業者として買主も製造物責任を負います。

この場合、被害を受けた第三者は売主・買主のどちらにも損害賠償請求が可能となるため、買主(ブランド側)が全く製造に関与しないときには、条文例第2項を次の条文のように損害賠償責任を売主(製造受託者)に限定することも考えられます。

2.本件製品の欠陥に起因して、第三者の生命、身体、財産に損害を与えた場合、乙は自己の責任と費用により当該損害を賠償する。

条文例2「部品」や「原材料」の売買契約

買主=甲
売主=乙

第●条(製造物責任)

  1. 甲及び乙は、本件製品の欠陥に起因して、第三者の生命、身体、財産に損害が発生した場合、もしくはそのおそれがあることを知った場合には、速やかに相手方に通知し、甲乙協力して原因の解明にあたる。
  2. 本件製品の欠陥に起因して、本件製品または本件製品を組み込んだ製品が第三者に対して損害を与えたことにより、甲に損害が発生した場合、乙は当該欠陥と相当因果関係のある損害賠償金(弁護士費用、調査費用等を含む。)を支払う。
  3. 前項の定めにかかわらず、その欠陥が専ら甲の行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつその欠陥が生じたことにつき乙に過失がない場合は、乙は損害賠償責任を負わない。

ポイント1

完成品の売買契約などと異なり、買主が売主から購入した本件製品を組み込んだ完成品を消費者に販売するケースで考えられる「完成品の欠陥」の主な原因は、
①本件製品(部品)の欠陥
②買主の加工で発生した欠陥
③両方
が原因の3つです。

この場合、損害を受けた第三者に対しては買主と売主が共同して責任を負うことになるので、可能な範囲で契約書において責任の所在や割合について規定しておくことが重要です。

本条文例では、第2項で、本件製品の欠陥と第三者の損害に因果関係がある場合の損害賠償責任は売主が、第3項で、本件製品の欠陥が買主の設計に関する指示が原因で、かつ売主に過失がない場合には買主が、それぞれ損害賠償責任を負うとしています。

ポイント2

部品や原材料の場合には、売主と買主の間で、製品規格、製造方法、製造日、検査方法などについて合意した「納入仕様書」または「購入仕様書」に従って製造し納品されます。

これは「買主の設計に関する指示」があったことを証明するものですから、部品や原材料の製造業者が製造物責任を問われるケースは、販売した製品が「納入仕様書」または「購入仕様書」に適合しない場合が前提となります。

生産物賠償責任保険(PL保険)について

PL保険は、製造業者等が製造・販売した製品が原因で、第三者の生命、身体、財産に損害を与えたときの損害賠償費用など補償する保険で、契約内容によっては次の保険料が支払われます。

  • 法律上の損害賠償金
  • 賠償責任に関する訴訟費用・弁護士費用等の争訟費用
  • 求償権の保全・行使等の損害防止軽減費用
  • 事故発生時の応急手当等の緊急措置費用

実際に損害賠償責任を問われた場合、ときには回復できないような大きなダメージを受けることもあるので、「製造業者等」に該当するのであればPL保険への加入は必須です。

まとめ

製造物責任は、売主(受託者)・買主(委託者)・エンドユーザーに関して、エンドユーザーが製品以外に関して損害を受けた場合の責任に関する法律問題です。そして、エンドユーザーに対して誰が責任を負うかは、法律により決定されることが多いでしょう。

他方、売主(受託者)・買主(受託者)間では、そういった事態が生じてしまった場合に、不当に自社が最終的な責任を負わされる内容になっていないか、上記の観点から十分注意して確認する必要があります。

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