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再委託禁止条項(再委託の可否・条件)

※20200601 民法改正に伴う内容アップデートを行いました。

再委託禁止条項の趣旨

再委託禁止条項は、予期しない再委託を防止するための条項です。

簡潔に言えば、委託者(仕事を依頼する者)が受託者(仕事の依頼を受ける者)の業務遂行方法をコントロールすることができるようになります。業務委託契約書などによく見られる一般的な条項であり、仕事を依頼する側からすると契約書に入れておくべき必須の条項であるといえます。逆に、仕事の依頼を受ける側からすれば、あえて盛り込むような条項ではありません。

条文例

第○条(再委託)
受託者は、書面により事前に委託者の承諾を得た場合に限り、本契約に基づく委託業務の全部又は一部を第三者(以下「再委託先」という。)に対し再委託できるものとする。

2 受託者は、再委託先に対して本契約において受託者が負う義務と同等の義務を負わせるものとする。

3 受託者は、再委託先の行為について、再委託先と連帯してその責任を負うものとする。

違反の要件

書面による事前の承諾がなかったこと。
or
再委託先に対して自己と同等の義務を負わせなかったこと。

違反の効果

契約違反の一般的な法的効果(解除、損害賠償など)。

再委託の必要性と制限について

再委託は、受託者の技術力や経済的信用などに基づいて行われます。また、場合によっては、受託者は委託者の機密情報を取り扱うことになります。したがって、再委託によって委託した業務を受託者とは別の者が行うことになるとすると、委託者の当初の期待に反してしまう事態となります。

他方で、現実のビジネスは、一社だけで完結するようなものではありません。大手メーカーなどを頂点とする多重下請け構造を持ち出すまでもなく、ごく普通の会社でも受託した業務を別の会社や自営業者に任せることはよくあります。

これは、ひとつの会社だけではリソースが足らないことが起こるからです。あるいは、受託した会社がマネジメントに特化しているという場合もありえます。このように、再委託する必要性は意外と高いものと考えられます。

したがって、契約交渉の中では再委託の必要性がどの程度あるのかを確認し、それに基づいて契約条項を設計する必要があります。また、再委託を承諾する際には、再委託先の信用性などを判断することになります。

再委託の条件設計について

法律上、請負契約の場合であれば、再委託は原則として自由に行うことができます。

他方、委任契約ないし準委任契約の性質を有する契約の場合には、受託者自らが業務を処理しなければならないと考えられています(自己執行義務/民法第644条)。しかし、委任者が承諾している場合や、委任者の不利益を避けるための再委任まで禁止されてしまうとかえって不都合が生じます。

そこで、民法は
①「委任者の許諾を得たとき」
②「やむを得ない事由があるとき」
には、再委託が可能である旨規定しています(民法第644条の2)。

そして、上記要件に違反した場合には、債務不履行の一般原則により責任追及がなされることを法は想定しています。そのため、たとえば、受託者が委託者の許可なく再委託をし、この再委託先がミスをしたために委託者に損害が生じたようなケースでは、受託者の勝手な再委託と委託者の損害との間に相当因果関係等が認められる場合には、受託者自身も損害賠償責任を負うことになります。

以上が民法の原則的なルールです。なお、個人データの取扱いが絡む場面では、別途で、再委託先に対する必要かつ適切な監督を要します(個人情報保護法22条)。

次に、再委託先は独立した法主体ですから、受託者の債務を当然に再委託先が負うということにはなりません(債権の相対性)。

一方で、委託者が再委託先に対して直接に受託者と同じ義務を課すのは手間ですし、ビジネス的に現実的な方策でもありません。そこで、受託者に対し、再委託先が「受託者と同等の義務」を負うように別途で契約を締結させることが考えられます。特に秘密保持義務との関係では非常に重要な措置となります。

この場合は、再委託先に対して義務を負わせること自体が受託者の債務となり、実際に受託者と再委託先の間でなされた合意に基づいて委託者が何かできるわけではありません。あくまでも受託者に再委託先に対する義務づけを任せるだけです。

なお、再委託先の行為の責任について、広く受託者に問うことができるように、「再委託先の行為につき、再委託先と連帯して受託者が直接に責任を負う」こととする旨の規定を入れることもあります。

レビューにおけるポイント

第○条(再委託)
受託者は、書面により事前に委託者の承諾を得た場合に限り、本契約に基づく委託業務の全部又は一部を第三者(以下「再委託先」という。)に対し再委託できるものとする。

2 受託者は、再委託先に対して本契約において受託者が負う義務と同等の義務を負わせるものとする。

3 受託者は、再委託先の行為について、再委託先と連帯してその責任を負うものとする。

(手続負担)事前の承諾を要求されているか、承諾は書面による方法か。
(対象)再委託の余地がある対象は特定されているか。
(内容)再委託先に同等の義務を負わせる内容となっているか。
(責任)連帯して責任を負うとしているか。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

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2020/06/01 改定
弁護士 仲沢勇人
(GVA法律事務所/GVA TECH株式会社/第二東京弁護士会所属)

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