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表明保証条項と誓約条項

表明保証条項とは、ある事実が真実であることを保証する旨の条項です。これに対して、誓約条項とは、一定の行為を禁止するなど法的な義務を負わせる旨の条項です。

これらの条項が置かれるのは、契約しようとする者の情報収集能力に限界があるからです。たとえば、投資契約の場合であれば、契約の際にこれから投資しようとする相手のことをすべて調べあげ、契約後も継続して監視し続けることが理想ですが、現実にはそれは困難です。そこで、これらの条項によって不測の事態に対処できるように準備しておきます。

表明保証条項と誓約条項について

いずれも、もともとは英米法の概念であり、現在でも日本法上の扱いは固まっていません。裁判例を見ても、その扱いは不安定であるといえます。したがって、ここでは、取引実務上通用している概念として紹介いたします。

表明保証条項とは

表明保証条項(Representations and Warranties)とは、特定の者が特定の者に対して特定の時点において特定の事実の存在又は不存在を保証する条項です。

条文例

第○条(事実の表明及び保証)
甲は、乙に対し、●●の時点で、●●でないこと[であること]を表明し、保証する。

表明保証条項は、いわば「点」で法律効果のトリガーを定めるものです。特定の時点で表明保証された事実が真実でなかった場合、それが引き金となって事前に設定しておいた法律効果が発動します。表明保証条項の例としては、典型的には、反社会的勢力排除条項があげられます。

また、表明保証条項は、誓約条項と並んで、M&A に関連する契約で登場する頻度が極めて高い条項です。たとえば、法務デューデリジェンスなどの場面では、当事者が相手方(買収対象となる会社)の情報をすべて収集できることが理想ですが、現実的には困難です。そこで、表明保証条項を利用することにより、監査(情報収集)で実際上カバーできない範囲の事実につき、その存否に関するリスクに対して手当てしておくことになるわけです。

このように、表明保証条項は、契約当事者の情報収集能力の限界を超えた領域にあるリスクに対処するための条項として位置づけることができます。取引関係の要となる時点ごとに表明保証条項で対応することになるでしょう。

他方で、法律効果の内容としては、たとえば、損失補償や損害賠償、解除などが考えられます。とりわけ、表明保証条項は、損失補償条項とセットで考えられることが多いです。

表明保証条項に違反したからといって、通常、何らかの損害を生じるとは考えにくい場合もあります。そこで、損害賠償条項が機能しないことから、損失補償条項という形で損害は発生していないかもしれないけれども損失が発生していると認めて一定額を填補する、という措置がとられるのです。なお、損失補償条項も損害賠償条項の一種ではないかという疑問はありえます。


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誓約条項とは

誓約条項(Covenants)とは、特定の者が特定の者に対して将来又は特定の期間にわたって特定の作為又は不作為を義務づける条項です。

条文例

第○条(誓約)
甲は、乙に対し、(将来にわたって[●●の時点から●●の時点まで])●●しない[●●する]。

誓約条項は、いわば「線」で法律効果のトリガーを定めるものです。また、表明保証条項が特定の事実の真実性に関するものであったのに対して、誓約条項は法的な義務に関するものとなります。

法律効果の内容については、基本的には表明保証条項と同様に様々ありえます。誓約条項の例は、典型的には、一般的な禁止条項があげられます。誓約条項は、表明保証条項で想定した事実関係の変動に対応する趣旨で置かれることが多いと思われます。

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