YKK株式会社 管理本部法務・知的財産部 古槇 俊之様、海寳 大輔様、原 智子様、松本 様、眞柄 聡美様に、GVA assist の導入背景や目的、現在のご利用状況についてお伺いしました。
ご導入から3年後に伺った活用事例も合わせてお読みください。
貴所の業務内容をお教えください。
弊社はファスニング事業を中核に、ファスナー(スライドファスナー)、面ファスナー(繊維製品)、バックル(樹脂製品)や、スナップ・ボタン等のファスニング商品をアパレルや汎用資材分野向けに製造・販売しており、現在世界70以上の国/地域で事業を展開しています。
現在の法務部門の体制やご対応されている業務をお教えください。併せて、ふだん取り扱っている契約の類型や月間取扱い通数などもお教えください。
全体で約40名いる法務・知的財産部のうち、契約周りを取り扱う法務グループは7名体制で、東京と黒部の2拠点に分かれています。
体制としては、営業部門、製造・技術部門、管理部門など、ご相談いただく方の所属に応じて法務担当がつき、対応しています。
よく取り扱う契約の類型としては、売買、業務委託、秘密保持、共同研究開発などを中心に多岐にわたり、月当たりおおよそ60~70通くらいの契約書レビュー依頼に対応しています。
法務としての課題感や、GVA assist を導入するに至ったきっかけをお教えください。
導入当時は、社内で業務改善プロジェクトが進行中で、法務においても業務効率化をテクノロジーで実現することができないか考えていました。
そうした理由から、法務としては品質を落とさずにレビューにかかる時間を短縮できたら良いな、と考え、AI契約レビューツールの導入をまずはじめに手掛けました。
ちなみにですが、当時は他に電子書籍の導入もプロジェクトとして並行しておりました。これも法務グループで完結する業務をいかに効率化するか、という観点から進めたプロジェクトです。また、コロナ禍のなかで話題となった電子契約や契約書管理も、順次導入してきています。
GVA assist を使って、契約書レビュー業務のどのような課題が解決されたか、可能な範囲でお教えください。
検討当時のAI契約レビューツールへの期待値は、契約書レビューの時間の減少やひな型の管理の効率化、そして「AI契約レビューツールを導入すると、人の目による契約書のレビューの時間が短縮されるのでは」というものでした。
導入当時はそもそもAI契約レビューツールがどういうものか分からなかったため、「AIがリスクを指摘してくれる夢のようなツールかな」という思いがあり、GVA assist の「レビュー対象の契約のどこに問題があるかをズバリ指摘するわけでなく、自社ひな型などのあるべき契約とレビュー対象との契約を比較参照する」という仕様に最初はすこし戸惑いもありました。
ですが、GVA assist の仕様をきちんと理解した上で、ひな型との比較参照に慣れると、これはこれで使い勝手が良いツールだなと感じています。
結果として、レビュー業務の心理的負荷が軽減され、契約レビュー自体に集中することができるようになりました。数値としてはっきりは出せていませんが、担当者の感覚値としては、従来のレビュー業務を100とすると、20%くらいは効率化できている実感です。
GVA assist ご導入前後での、契約書レビュー業務やワークフロー、法務業務の変化についてお教えください。
細やかな点も含め、契約書レビュー業務において様々な変化が生じました。
1.全体を通じた“心理的負担”および“作業”の軽減
契約書レビューを行う際、これまでは自社ひな型や過去契約書、関連資料をはじめ、多くのファイルを探して見つけて開いて準備する、という作業が必要で、正直なところ手間でした。GVA assist を使いだしてからは、Word上で自社ひな型や一般的なひな型、条項案等が一元化された状態から着手できるため、手間と時間を省略して、すぐにレビューに取りかかれます。
2.リスクの見落としの抑止、チェックリストとしての活用
チェックすべき条項の漏れに対する不安が以前はありましたが、GVA assist で契約書レビューする際、GVA assist が条文単位で抜け漏れをアラート出ししてくれるだけでなく、条項単位でチェックボックスがあることから、一つ一つ丁寧に見ることをスピーディに実現できるので、見落としに対する不安は大きく解消されました。
やはり紙ベースだと抜け漏れに対する不安はどうしても残ってしまいますが、ツール上の機能で一つ一つ潰せるようになっただけでなく、他業務が差し込まれて中断し再開するときでも、どこまで進んだかが可視化されているので、リモートワーク下でも安心して契約書レビューが継続できます。
3.条項修正時の参照先として
ちょっとした修正の際、代替条項をすぐ見つけられるため、書籍や過去の契約書等で調べて、候補をいくつか出して、比較して…、といったことをせずに、適切な修正をすぐに施せます。また、「こんな条項を入れてもいいのかな?」と思っても、GVA Assistにも候補として挙がっていたりすると、後押しされた気持ちになれます。
4.単純作業の負荷の軽減
形式面での作業の負担は大きく軽減されました。たとえば、自社ひな型として必要な条項の不足の確認、条番号ずれ、表記ゆれの改善など、これらの単純作業に時間をかける際、焦燥感がなくなったのは大きいです。
貴社は自社基準を活用いただいていますが、それはいかがでしょう?
弊社のひな型をGVA assist にプレイブックとして登録する作業が正直ちょっと大変でした。また、契約書全体に共通する条項の修正が発生した際に、GVA assist上で一つひとつ修正する必要があることも、いくぶん手間がかかります。これらについては管理機能の改善を期待しています。
とはいえ、弊社はひな型が多いため、やはり自社の契約ルールとの比較参照でのリスクチェックや代替案をすぐに取り出せるのはとても便利で安心できます。
GVA assist で、他人に教えたい機能や使い方がありましたらお教えください。
最近の機能追加によって、契約書レビューやドラフト出力といった基本機能以外にも使える機能が増えた印象です。
- 画像のPDFファイルをWordファイルに変換してくれる機能
- 条番号ずれ、表記ゆれの修正機能
- 社内確認時、ほぼ毎回同じ内容でコメントする文章を自社ひな型に登録しておく機能(条文ストック機能)
などを便利に使っています。
また、好みは分かれるかもしれませんが、Word上で利用できるという点が気にいっています。「レビュー時はWordファイル以外を立ち上げる必要がない」という簡単さがお勧めです。
今後の活用の展開について
自社ひな型を GVA assist に集約して管理・運用を丁寧に行っていきたいと考えています。他にも、条文ストックを今後充実させていくことで、よりGVA assist を使い倒していきたいです。
GVA assist に対する期待値やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
色々期待しています。
- 思わずやってしまいそうな誤字の指摘(事態と自体、事故と自己、等)
- 相手方がWordファイルにつけてきたコメントに対する反論の提案
- 条文の位置を変えても、条数が自動で変更される
- 多様な文書ひな型への対応(株主総会議事録、取締役会議事録、定款、等)
- 法務部門のパフォーマンスの定量評価機能
また、眼前の契約書レビュー業務の効率化だけでなく、契約にまつわる情報がGVA assistに集約されていることよって、育成にも充分効果を発揮してくれることを期待しています。
事例を読まれている方に向けて一言お願いいたします。
DX全般に言える話ですが、GVA assist を使い効率化を実現するためには、導入時の下準備や現状の整備が必要になります。ですので、導入プロジェクトにしっかり工数を割いた上でGVA assist を活用することが、一番効率的に使えるようになると思います。
下準備や現状の整備がついていれば、契約にまつわる情報が集約されているので、契約書レビューに必要な情報にすぐたどり着けるGVA assist は、ちょっと困ったときの拠り所になります。