インハウスハブ東京法律事務所 代表弁護士 足立 昌聰先生に、OLGA のご導入の背景やご利用状況、導入メリットを伺いました。
貴所の業務内容をお教えください。
インハウスハブ東京法律事務所は、事務所名にもあるように「組織に本籍をおいている『インハウス』の弁護士や弁理士が、プライベート・プラクティスとして“自分がやりたい仕事”を提供するためのプラットフォーム」として、2018年に設立した法律事務所です。
私は某外資系法律事務所に7年ほど在籍していたのですが、特許庁に出向した際、様々な企業法務の方々と多くの仕事をご一緒する機会がありました。その時の経験があり、当時の事務所を辞めてLINE株式会社に入社し、インハウス弁護士としてのキャリアをスタートしたのですが、一方でプライベート・プラクティスのやりがいや面白さもありました。ですので、両立する道を探した結果、弊所を設立した次第です。
現在は7名の弁護士と2名の弁理士が在籍し、インハウスからキャリアをスタートする若手弁護士の採用も強化しています。
現在のレビュー体制や、その頻度について、具体的にお教えください。
一般的な法律事務所ですと、パートナーとアソシエイトとの間で垂直的な業務依頼プロセスがあり、1st、2ndというレビュー体制をとっているかと思います。ですが弊所は1st-2ndといったレビュー体制は基本的になく、弁護士がそれぞれ個別に対応しています。
私自身、レビュー業務はわりと多い方かと思います。日中はインハウスとしての時間ですので、弊所においての契約書業務は基本的に平日夜と休日の対応になります。契約書業務のうち、契約書作成業務とレビュー業務とは1:1の比率くらいでしょうか。
レビュー業務についての課題感や、OLGAを導入するに至ったきっかけをお教えください。
一度、外部の弁護士に契約書のレビューを委託したことがあるのですが、同じ事務所内ではないことから文脈の共有があまり上手く行えず、結果自身が一からレビューし直すといったことがありました。そうした体験や、日々増える業務のなかでレビューにかける時間を確保する焦りのようなものから、「効率的にレビューを行うためには、処理能力を底上げする必要がある」と考え、話題になっていたリーガルテックに興味が向きました。
実は、私が法務責任者をしている企業と弊所とでは、2つの異なるAI契約レビューツールを導入しています。前者は法的バックグラウンドがあまりない担当者でも使えそうなもので、いわばオペレーターをツールに配置することで効率化できるのでは、と考えています。
OLGA は、弁護士のように法的バックグラウンドがある人が、時間をかけて丁寧に取り組めば一定品質のクオリティで成果物を出せるが、準備やリサーチといった様々な作業がありどうしても手間がかかってしまう、という状況に対して、かかる手間をシンプルに解決してくれるツールとして弊所で導入・利用しています。
AI契約レビューツールの導入において、レビュー業務の一連のワークフローを変えることなく自然に導入でき、スムースな利用が可能で、かつ定着するツールかどうかが重要なポイントでした。導入することで削減できる業務負荷とコスト感が見合うかどうかを検討した結果、OLGA は操作性が良く、かつリーズナブルであったことから導入を決めました。
OLGA を使って、レビュー業務のどのような課題が解決されたか、可能な範囲でお教えください。
リスクや不足条文の検知機能を使うことで、典型的な契約を効率的にレビューすることができるようになりました。契約内容の有利/不利は弁護士として判断しており、契約書の内容評価に踏み込んだAI契約レビューツールの使い方をしていませんが、そこにたどり着くまでの時間短縮については期待通りの効果を上げています。
また、契約書レビューと一言で言っても、顧問先のプロダクトやサービスに関する契約と調達に関する契約とで、位置づけが大きく異なります。
プロダクトやサービスに関する契約は、一から契約書をドラフトし、その後顧問先の要望に応じた細かな修正を加えていくため、ドラフティングがポイントになります。
一方で、調達に関する契約は、多種多様な先方雛形がくるケースが多く、その場合リスク管理上必要な条項のヌケモレがないかをチェックすることが求められます。
後者の契約書レビューは、弁護士としての専門性をそこまで発揮する類の業務ではなく、正直なところ手間もかかります。また、顧問先の企業側も、タイムチャージなどの兼ね合いから、顧問弁護士にそこまで稼働時間を割いて欲しいとは考えてはいないのではないでしょうか。
この点においても、典型的な契約を効率的に捌くためのツールとして OLGA は有意です。
上記について、定量的に評価できる導入効果があればぜひお教えください。
典型的な契約のレビューにおいて、ヌケモレがないことをスピーディに確認できるため、工数としては6~70%の削減ができているのではないでしょうか。
OLGA で、他人に教えたい機能や使い方があればお教えください。
直近のアップデートでOCR機能が実装されたことですね。先方雛形はPDFでくることが多く、PDFを受領してもスムースにレビューが完結できる状態になったのは嬉しい。
OLGA に対する期待値やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
エンタープライズプランで自社基準によるレビューができるとのことですが、少し違う目線でのナレッジマネジメントが OLGA を通じで実現できるとありがたいです。
ナレッジマネジメントはやはりリソースがハードルになります。弊所は在り方からしてそのリソースを確保しづらいので、日々のレビュー業務の延長上でナレッジシェアリングができるようになると、法律事務所自体の強みを伸ばせるようになると考えています。
事例を読まれている先生方に向けて一言お願いいたします。
自分自身が得意としてない分野の契約書や、繰り返し依頼されるような契約書業務はOLGA に任せてしまうことで、付加価値の高い業務に時間を大きく割くことができるようになります。
少し話がずれるかもしれませんが、リモートワークが普及した結果、契約書をプリントアウトしてチェックする習慣が減った実感があります。契約書業務における弊害としては「印刷しないことによるチェック漏れのリスク」が高まったと考えており、そのリスクもまたツールで解決できると考えています。
可処分時間を確保し、生産性を高め、「作業」を減らしたい先生にとっては、OLGA はその名の通り契約書業務をアシストしてくれる、頼もしいツールです。