株式会社ベルシステム24ホールディングス 法務・コンプライアンス部 法務局 局長 豊田 記史様、コントラクトマネジメントグループ マネージャー 湯澤 良夫様に、OLGA の導入背景や目的をお伺いしました。
貴社の業務内容をお教えください。
弊社は伊藤忠商事株式会社を筆頭株主とする「持ち株会社」でして、コンタクトセンター運営事業を営む株式会社ベルシステム24を中核として、国内外に7社のグループ会社を抱えています。
いずれのグループ会社もBtoBの取引形態のため知名度はやや限定的ですが、コンタクトセンター運営事業では、クライアント様に代わり、通信会社や金融・保険会社のお問い合わせ窓口、電力・ガス・水道の開栓や登録受付、ECサイトの注文受付、国政選挙の情勢と出口調査、薬剤師等の専門スタッフが応対するお薬相談窓口受付、最近ではコロナワクチンの予防接種受付業務などを実施しています。
弊社グループは「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」という使命を掲げて、約3万人の社員が各種業務に従事しています。今年でちょうど創業40周年を迎え、日常生活に欠かせない社会基盤としての役割が定着してきたことを実感しています。
現在の法務部門の体制やご対応されている業務をお教えください。
法務・コンプライアンス部に所属するメンバーは、総勢21名です。法務局とコンプライアンス局の2局体制のもと、5つのグループで構成されておりまして、今回 OLGA の導入に関わったのは、法務局 コントラクトマネジメント・グループになります。
コントラクトマネジメント・グループでは次の4つの業務に対応しています。
- 契約書の作成/レビュー
- 法務相談/トラブル対応
- 法務研修
- 知的財産権の管理
これらの業務のうち、当グループが取扱う契約書のレビュー件数は、繁閑の差は有りますが月間約100件あります。主な契約類型は業務委託契約、業務提携契約、販売代理店契約、建物賃貸借契約、派遣契約などで、一部国外の契約レビューにも対応しております。体制としては、これらの業務を現在4名の少数精鋭のメンバーで対応しています。
![株式会社ベルシステム24ホールディングス 法務・コンプライアンス部 法務局 局長 豊田 記史様](/wp-content/uploads/2023/01/bellsystem24_02.jpg)
OLGA を導入するに至った、法務としての課題感をお教えください。
当グループの考え方として、「ビジネス」と「契約書」が分断しつつある状況を一体化して、全社にリスクマネジメントの文化を根付かせたい、という思いと、営業担当者の契約実務の負担を軽減して業務効率化を図りたい、という、相反する要素を両立させる目標がまずはありました。
そもそも弊社は新たな取り組みに対して積極的な社風があります。ですが法務リソースを考慮しますと、当グループだけですべての取引における契約レビューを行うことは現実的ではありませんでした。
そこでいまから5年ほど前に、法務部がレビューする契約書をリスクが高いものに絞り込むことを目的に、法務部に依頼するものと事業部サイドでレビューするものを切り分けられるよう、契約類型ごとに自己点検シート(法務チェック判断シート)を作成し、営業担当者が契約上のリスクを把握できる仕組みを展開しました。
ビジネスについて一番よく理解しているのは、日々クライアント様と折衝している営業担当者です。リスクマネジメントの観点としても、リスクの低い自社ひな型ベースの契約書レビューは営業担当者自身に行ってもらえる状況が理想ではあります。
当時から法務研修を継続的に実施していますが、時間的制約もあってリスクの意識付けやきっかけ作りを研修テーマにせざるを得なくて、取引先から提示された具体的な契約条項に対して、営業担当者としてどう修正するべきか、といった契約書レビューの実務に即効性のある内容ではありませんでした。
また、実際には契約書を読んだり交渉したりすることを苦手とする営業担当者が少なからずいて、営業担当者に負荷がかかっている状態がありました。
これらの背景を踏まえ、法務部としての業務効率化、という観点ではなく、事業部サイドでの契約書レビューの効率化の観点から、AI契約レビューの導入を検討した次第です。
検討においては、AI契約レビューツールを提供している3社に話を伺ったのですが、
- 弊社の審査基準に基づいたレビューが行えること
- 事業部サイドが違和感なく操作できること
- リスクの指摘だけでなく対案をセットし、レビュー時に使えること
の3点を重視した結果、OLGA を選びました。
とくに1が重要で、一般的な観点でのリスク検知や対案だけだと、営業担当者が誤った判断をしてしまう恐れがあったため、検討時に重視して、AI契約レビューツールとして早くから自社基準でのレビュー支援に取り組まれていた OLGA が弊社にフィットすると考えた次第です。
他には、弊社が実現したいことに対し、GVA TECHの担当者の提案力が高かったことも、選定を後押しする重要な要因でした。
![株式会社ベルシステム24ホールディングス 法務・コンプライアンス部 法務局 コントラクトマネジメントグループ マネージャー 湯澤 良夫様](/wp-content/uploads/2023/01/bellsystem24_03.jpg)
OLGA を使ってみたご感想をお教えください。
初めて使う人でも直感的に操作できるのが OLGA の魅力だと思います。
先に述べたとおり、弊社の場合は法務部だけではなく営業担当者にも使ってもらうものなので、ツールの選定時にテスト運用を実施して、実際に現場の声をもらいました。具体的には、OLGA に弊社のNDAひな型をセットし、自己点検シートの内容を OLGA に反映して、ご協力をいただけた事業部のベテラン層・中堅層・若手層の社員それぞれ数名に試してもらいました。
結果のアンケートでは
- 操作性
- 高リスクの見落とし防止効果
- 事務負担の軽減効果
- 推奨対象
などの項目で高評価が得られた次第です。
せっかくですので、導入後にちょっと大変だったことも共有します。
OLGAの本導入を決めたあと、弊社の各種ひな型契約書を OLGAにセットしたのですが、テスト運用で上がってきた社内ニーズを踏まえる必要がありました。そこで課題になったのは次の2点でした。
- リスクポイントのヒット率の精度を高めるためのチューニング
- 使い勝手の良い想定対案を複数作成して、対外的な説明コメントを用意すること
1のチューニングについては、法務としての経験をもつ導入コンサルタントをGVA TECHさんにアサインいただき、ツールの使い方をレクチャーしてもらうだけでなく、法務としての目線から弊社のひな型セットにあたってさまざまな工夫をしていただいたことで、ヒット精度をかなり向上させることができたことがありがたかったです。
2については、当グループの通常業務を抱えながら同時並行で OLGAの導入を進めていたため、時間のやりくりが正直かなり大変でした。ですがいま振り返ってみますと、弊社の契約書審査ノウハウの見える化が進み、属人化しない状態を作る良いきっかけだったと思います。
OLGA に対するご要望や改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
テスト運用を含めてもう半年以上利用していますが、その間にも、PDFの契約書にも対応可能になったり、プレイブックの選択が実践的になったりと、次々に機能が改良されていくのが分かりました。引き続き、改善して頂けることを期待しています。
弊社としては、契約書レビュー業務に OLGA をどう溶け込ませるかがポイントで、そのためには、 OLGA が現状よりもっと使い勝手のよいものに「一緒に磨いていけるか」が重要です。それには法務部として OLGA にセットする内容をブラッシュアップすることも大切ですが、より事業部が使いやすくなるように OLGA にもシングルサインオン対応をはじめ、さまざまな機能追加を期待しています。
事例を読まれている方に向けて一言お願いいたします。
![株式会社ベルシステム24ホールディングス 法務・コンプライアンス部 法務局 局長 豊田 記史様、コントラクトマネジメントグループ マネージャー 湯澤 良夫様](/wp-content/uploads/2023/01/bellsystem24_04.jpg)
弊社のように、事業部での利用を前提としたAI契約レビューツールの導入を進める企業は多くないかもしれませんが、「法務部と事業部がともに成長できるツール」だと感じています。
OLGA を使うことで若手の営業担当者でも「自力で契約書をレビューできた」という感動体験が得られると思いますし、法務部としても契約書ひな型をセットするプロセスを通じて、属人化を排除して一貫性のあるレビューを全社的に行えるようになります。継続して使い倒していくことで、全社的に契約業務の効率化につながるサービスだと思います。
また、今回 OLGA の導入を通じて感じたこととしまして、リーガルテックの浸透によって我々企業法務担当者に求められている役割が刻々と変化していくのを感じました。法務が経営の視点に立ち、リーガルテックを上手に自社に取り込んでいくことで、法務として新しい付加価値を生み出していけると思いますし、OLGAはその一助になるサービスです。