弁護士法人えそら 代表弁護士 鹿野 舞先生に、OLGA の導入背景や目的、効果について伺いました。
貴所の業務内容や特長・得意分野についてお教えください。
弊所は、予防法務の大切さを皆様にご認識いただき、紛争の未然防止を行うべく、中小企業や個人事業主の方々の顧問業務に力をいれています。
たとえば、契約を締結する前段階において、その契約のメリットだけではなくデメリットにもしっかりと目を向けることができれば、事前にそのデメリットに対して対策を行うことができ、結果として後々の紛争を防止することが可能になります。防ぐことができたはずの紛争に時間や労力を取られる様子を見ているのは、弁護士としてもとても歯がゆいものです。そのため、予防法務に着眼をしました。
また、顧問先の会社様の福利厚生の一環として「法律相談EAP」というサービスも提供しております。これは、従業員ご本人様やそのご家族の方々が法的なお悩みを抱えている状態では、業務効率も低下してしまい、会社の生産性も低下してしまう、という悪循環が起こってしまうので、そうした状況を予防するための制度です。
このような制度を用意し、従業員をサポートすることで、従業員の会社へのコミットメントが高まり、離職率の低下やモチベーション向上にも繋がるとされており、企業経営にとっても大きなメリットになると思います。
上記のようなリーガルサービスを提供していることから、取り扱い業務は企業法務から一般民事事件まで多岐にわたります。ですが、一貫して「予防法務」という考えを念頭におき、先回りして紛争を防ぐご提案ができるように意識しています。
現在のレビュー体制や、その頻度について、具体的にお教えください。
所属弁護士は2名で、顧問企業は現在40社になります。スタートアップ企業もあれば老舗と言われる企業も顧問先にあったりと、顧問先企業の業種業態はさまざまです。そのため、レビュー依頼がくる契約類型も多岐にわたりますが、業務委託契約(請負型・委任型ともに)、保守管理契約、利用規約などが多いです。
季節によってご依頼の数は大きく変わりますが、月の契約書取り扱い通数としては平均すると5〜10通くらいで、それを現在弊所にいる2名の弁護士で対応しています。
レビュー体制としては、基本的に担当弁護士が個人でレビューを行っています。OLGA を導入する以前はダブルチェックをすることもありましたが、いまでは完全に担当弁護士のみで対応が完結しています。
OLGAを導入するに至ったきっかけをお教えください。
もともとAIによる契約書レビューサービスが存在していることは知っており、新しいもの好きとしては気になっていました。ただ、当時は契約書レビューの依頼数もさほど多くはありませんでしたので、費用をかけてまでツールを導入することもないかなと考え、保留にしておりました。
その後、次第に契約書のレビュー数が増えてきたことをきっかけに、「そういえば」という感じでAI契約書レビューの存在を思い出し、導入を検討するようになりました。ただし、レビュー数が増えてきたといっても業務が回らなくなるほどある、というわけではないので、時間短縮が目的ではなく、レビューをする契約書の多様化に対応することが導入検討の主目的でした。
普段あまり取り扱わない契約書類型の相談がくると、対応する法律を調べながらレビューをするのですが、その際に「漏れがないように」と、リサーチにかなりの時間を費やしてしまいます。加えて、そうしたレビューに限って、特殊性に気を取られて、当たり前の条項が入っていない、という点を見落としてしまうこともありました。それらの問題は、例えば1回レビューをして1日寝かせてまた読み返す、といった方法によってカバーはできるのですが、もう少し効率よくレビューすることができないか、と考えていたのです。
あとは、契約書レビューだけでなく、作成のご相談も増えてきたので、ツールを導入すればひな型も充実するだろうな、という思いもありました。
OLGA をお使いいただいたご感想をお教えください。
色々とあるAIによるレビュー支援サービスのなかで OLGA を選んだのは、使い勝手がよさそうだから、という点に尽きます。
私は、何か新しいツールを使うときに説明書を読むのが苦手なのですが(苦笑)、OLGA は導入した瞬間から「使いこなせているな」という感覚になりました。その後、担当の方にオンラインで使い方を説明していただいたのですが、ほぼほぼ新情報はありませんでした(笑)。とにかく直感的に使うことができる、という点が最大の魅力です。
先ほどお伝えしたとおり、専門的な契約書のレビューを行う際に OLGA を活用することを主目的に導入をしたのですが、その目的はしっかり果たされています。
弊所にレビュー依頼がくる契約書はほぼ OLGA でレビュー可能なもので、OLGAでチェックしたものを弁護士が再度レビューし直す、という流れで使っています。専門的な契約書のレビューは時間の短縮もできていますが、全体的には時間短縮になるというよりレビューの精度が劇的に高くなるという実感が大きいです。
あとは、専門的な契約書レビューに限らず、契約書レビューは見落としをなくすためにかなりの集中力をつかうのですが、その点も OLGAがサポートしてくれるので、精神的にかなり楽になりました。
OLGA への期待やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
PDFに対応できたら嬉しいな、と思っていたのですが、Web版でできるんですね。今まではPDFの内容をWordにコピペをしてから OLGA を使用していたのですが、それが不要になると益々便利になりますね。
あとは、表などが組み込まれている契約書が、うまくレビューができなかったりするので、その点が改善されたらなおありがたいです。
事例を読まれている先生に向けて一言お願いいたします。
契約書レビューの数があまりないことを理由に導入を見送っていましたが、今となってはもっと早く導入しておけばよかったなと思います。
単純作業の精度については、どうあがいても人間はAIには勝てませんから、その部分はAIにお任せをしていくことが、レビューをする弁護士だけでなく、ご依頼いただいている依頼者の方々にとっても、ベストだと思います。
もちろん、企業様のビジネスを深く知る弁護士がAIに勝る部分も多くあるので、そういう意味でAIと役割分担、二人三脚をすることが、よりよい契約書作成・レビューの実現に繋がると思います。