新日本造機株式会社 企画管理部 主管 兼 業務グループ 法務チームリーダー 小田 浩彦様に、GVA assist の導入背景や目的を伺いました。
貴社の業務内容をお教えください。
当社は中小型発電、石油精製・石油化学等のプラントに使用される、蒸気タービン・ポンプといったプラント用機器の製造・販売を業とする会社です。売上高200億円程度の企業ですが、海外売上高比率が70%以上あります。
プラント機器は一度納入すると30年以上は使い続けていただくことが多く、例えばイラン革命時代にIJPC(イラン・ジャパン石油化学)に500台以上納入しましたが、いまでもまだ現役で稼働していたりします。そのため、新規の取引だけでなく、アフターサービスの比率もビジネスの比率として高いです。
現在の法務部門の体制や、ご対応されている業務をお教えください。
リスク管理やコンプライアンス、内部統制には2名配置し管理していますが、いわゆる契約法務は私が一人で対応しています。業務としては、各種契約書のチェックやドラフト作成、法律相談、債権管理・回収、取締役会事務局、輸出管理等も含まれます。
普段扱っている契約書の類型は、秘密保持、取引基本、 個別販売(製作物供給)、 代理店、業務委託などで、英文契約の比率は高く、英文の個別販売契約の中には100pageを超えるものも存在します。
契約書の取り扱い数は、平均すると月に10通くらいの依頼が来ています。
GVA assist を導入するに至った、法務としての課題感をお教えください。
やはり、日本企業(メーカー)のホワイトカラー部門の生産性を上げたい、という思いが強くありました。2018年に、セミナー等を通じて欧米企業が採用している某AI契約書審査ツール(英文のみ)の存在を知ったのですが、コストを調べてみたところ売買契約書だけで年間数百万円かかると聞きまして、とても経営陣を説得する自信がなく、一旦諦めていました。
その後、2019年に経営法友会で国内のAI契約審査ツールの話をききまして、まずはコストを比較してGVA NDAチェック(旧称:AI-CON)の和文契約書からテストしてみたいという思いが湧き、2020年度からGVA NDAチェックを導入しました。その後、GVA assist で英文契約書にも対応したと知り、GVA assist に切替えたのが導入経緯です。
GVA assist を使ってみたご感想をお教えください。
もともと、主要な契約類型では、自社の審査基準を整理しマニュアル化を進めていたのですが、別ファイルを見ながら契約審査するよりも GVA assist を使ったほうがはるかに見やすく、契約審査の効率化はできていると感じています。
また、マニュアル化出来ていない契約類型の場合でも、対象の契約書に不足している条文がないかどうかをチェックする機能(AIリスク検知)により、抜け漏れをきちんと防げています。
同様に、たまにしか相談がこない契約類型の場合も、GVA assist がサジェストするリスク項目や条文例を参照する方が、契約本をみたりするよりもはるかに効率的です。
導入効果をお教えください。
契約審査にかかる時間は30~40%は削減されたと感じています。
秘密保持契約や国内の取引基本契約書などは、GVA assist のチェックでほぼ完了します。その他の契約類型ついても、抜け漏れや迷いが減らせたことで、より重要な契約にリソースをかけられるようになって、精神的にもとても楽になりました。
GVA assist に対するご要望や改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
当社は英文契約の取り扱いが多いので、英文契約書でのリスク検知を始め英文契約書対応が今よりもさらに充実することを期待しています。
あと、 GVA NDAチェックで実現していた、買主有利、中立、売主有利といった傾斜のある条項サンプルがGVA assist でも実現してくれると嬉しいです。
事例を読まれている方に向けて一言お願いいたします。
トヨタ式生産方式の二つの柱のうちの一つとして、Just In Timeと並ぶ「ニンベンのついた自働化」という概念があるのはご承知かと思います。「ニンベンの付いた自働化」では、製造工程において機械・品質等の異常を即座に発見し、設備を止めることにより、作業者や管理監督者の時間を、付加価値の高い他の仕事へ振り向けることが出来るようになります。これはあくまで、人間に付加価値の高い仕事をさせ、原価低減に繋げる(生産性を向上する)ことが狙いです。
日本企業(メーカー)の製造現場では生産性は高いのに、ホワイトカラーの仕事では生産性が低いのではないか、という指摘は過去何度も聞かれてことがあるかと思います。
ニンベンのついた自働化で80%を機械(AI)に作業させ、残りの20%を人間がチェックし、仕上げを行うことで、良品率がUPすると言われていますので、2018~2019年頃にAI契約書チェックが可能となると聞いた時、これこそが法務部門における「ニンベンのついた自働化」となり得ると興奮を覚えたことを記憶しています。
契約書のチェックという仕事も、100%全てをAIに任せるという思想でなく、契約・法律の知見をもった人間が最終工程をチェックするという思想で行えれば、生産性向上と品質の維持の両立が可能になると思います。
余裕のできた時間は、ライン(営業・調達)の人間に働きかけしたり、ラインからの依頼を待つのでなく、ラインへのモニタリングに充てるようにすると、法務部門がビジネスを遂行する上での関所(ビジネス・ストッパー)でなく、ラインの協業者/会社の利益を守るガーディアンとして、社内関係者から評価されることにつながるのではないでしょうか?
業務品質の標準化に、GVA assist は大きく効果を発揮すると思います。