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「分野を特化し急拡大!勢いのある法律事務所のマーケティング戦略と事業計画とは」セミナーレポート(後編)

2023年11月22日、GVA TECHとL-EAP(一般社団法人弁護士EAP協会)との共催で「分野を特化し急拡大!勢いのある法律事務所の マーケティング戦略と事業計画とは」と題したセミナーが開催されました。

第三部はファシリテーターに法律事務所アルシエンの北周士弁護士を迎え、プレゼンテーションしていただいた畑山弁護士、廣石弁護士とのパネルディスカッションが開かれました。参加者から寄せられた質問への回答など、熱いトークが繰り返されています。

レポート後編は、畑山弁護士、廣石弁護士、北弁護士によるパネルディスカッションの模様をお届けします。


北 周士弁護士

北 周士 弁護士
法律事務所アルシエン パートナー

2007年に弁護士登録(旧60期)、2011年にきた法律事務所を開設。2018年より法律事務所アルシエンに参画。
2014年より法律事務所の開業、経営、ブランディングに関する書籍の企画・執筆・編集・出版をするとともに、士業向けのセミナーの企画運営や講師を務めている。書籍として「弁護士独立のすすめpart1、part2」「弁護士独立・経営の不安解消Q&A」「弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ」など(いずれも共著)。


畑山 浩俊 弁護士
弁護士法人かなめ 代表

勤務弁護士歴1年9カ月、29歳の時に独立開業。 「働きやすい福祉の現場を、あたりまえにする」をミッションに掲げ、全国の介護・障がい・幼保等の福祉事業者をサポートする福祉特化型の法律事務所を運営。 経営者だけではなく、管理者・施設長・園長等のマネジメント層もすぐに弁護士に法律相談ができる顧問サービス『かなめねっと』は現在33都道府県に普及。 弁護士13名、大阪、東京、福岡に拠点を構える。


廣石 佑志 弁護士
弁護士事務所三ツ星 代表

大学(経済学部)卒業後、住友不動産株式会社、大阪市役所、大学院研究科博士前期課程(専攻:都市経済学)を経てロースクールに進学、2009年弁護士登録。2014年、弁護士法人三ツ星設立、同時に中小企業診断士登録。
裁判は経営の手段であってそれ自体が目的ではないとの信念のもと、社長の幕僚として、経営者と同一の目線で、弁護士・税理士・中小企業診断士のスキルと経験を経営に活かして事業の発展、再生を支援。2023年12月に東京事務所設置。現在弁護士9名、事務局10名、客員弁理士1名体制。
また、弁護士法人経営の傍ら、陸上自衛隊の予備自衛官(3佐)としても活動。日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ)にも参加している。

かなめ交流会の講師・参加者はどう集めた?

北弁護士(以下、北):
ご紹介に預かりました弁護士の北と申します。よろしくお願いいたします。ここからはパネルディスカッション形式で、参加者の皆さんからいただいたご質問をお二人にお伺いしていきます。

まず1つ目の質問です。これは畑山先生宛ですね。

「独立当初、かなめ交流会を主催されていたとのお話がありました。参加者は経営者の方々のことですが、講演される方と聞きに来られる方の両方を調整する必要があったかと思います。講演をされる方、また参加者にはどうやって接触したのですか?」

畑山弁護士(以下、畑山):
講演者は、僕が「この方の話を聞きたいな」と思う人が出てきたら直接アタックして、「かなめ交流会という会を主催しているのでぜひ講師になってください」とお願いしていました。やっぱり企画があるからこそ声を掛けられる人ってたくさんいると思うんですね。ほかには他士業の先生にも声をかけていました。

参加者については、例えば社労士の先生に「先生の顧問先の企業にこういう問題で悩んでいる方もいらっしゃいますよね?かなめ交流会は絶対にいい場所なのでぜひその方をお誘いください、僕が保証します」といったように、正直に熱量を持って口説いていました。

回数を重ねることで経営者の方々との接点もだんだん増えますし、他士業の先生との接点も増えていきます。そういった循環でスパイラル的に拡大していったという感じですね。

北:
これまでお会いした方に「ぜひ来てください」と提案すると思うのですが、先生の体はひとつしかありませんよね?飲みにも毎日行っていたかもしれませんが、行けても1日1回が上限だと思います。LINEなどオンラインでも繋がっていたと思うのですが、どのような形で提案をしていましたか?

畑山:
かなめ交流会は、始めた頃は参加者も20人から30人程度で、最多で150人くらい来てくれました。その人数であれば直接電話して呼べるんですよね。集客はつまるところ「熱量をどう伝えるか」なので、紹介してもらった方にもFacebookのメッセンジャーや、いまはもうやめてしまったのですが当時はX(旧:Twitter)のDMを送るということもしていました。送った上で電話させてもらって、趣旨を伝えて来てもらう、まですべて自分でやります。

北:
直接やりとりをして来ていただくと。

畑山:
はい。パソコンでLINEを立ち上げながらスマホでメッセージを送り、同時に電話をして勧誘すると行ったことを何日かかけて集客する時間がありました。

北:
ご自分で集客しまくる時間を作っていたわけですね。

この質問の続きなのですが、「交流会を通じて知り合った経営者の方々と顧問契約を締結するにあたって、どのようなアクションを取りましたか?」という質問がきているのですが、いかがでしょう?

畑山:
他士業の先生とつながって熱い勉強会をやると、その他士業の先生が、その方のクライアントに感謝されたりもするんですよね。「先生に誘ってもらった交流会、とても良かった。呼んでくれてありがとう」みたいな、そういった繋がりができた上で、その先生のクライアントが法的な問題で困ったときに相談してくださったりしました。

あとはいわゆる飲み営業ですね笑。飲み会を開いて関係性を深めて顧問契約の獲得につなげていくということを愚直にやっていました。

北:
ありがとうございます。

中小企業診断士は事務所経営にどう役立っている?

北:
続きましては廣石先生にご質問が来ています。

「中小企業診断士の業務内容に興味があります」というご質問なのですが、廣石先生の場合、中小企業診断士の業務は経営顧問業務が多いのでしょうか? それとも補助金申請業務等の単発の業務が多いのでしょうか?

廣石弁護士(以下、廣石):
補助金業務はクライアントのためにも本当はやったほうがいいんでしょうけど、忙しくてやれていません。何かのプロジェクトをやるときに、補助金を組み合わせて提案できたらいいんですけどね。これは今後の課題です。

なので、現在は経営顧問業務オンリーといいますか、経営顧問業務でも弁護士の顧問のように継続的にタッチするパターンと、プロジェクト的に、たとえば事業計画の作成をゴールとして3ヵ月とか半年の間お付き合いするといったパターンがありますね。

北:
継続的に顧問になるのと、プロジェクト単位でやる場合って、先生の方で違いはあるんでしょうか? やることや関われる範囲の違いとかでしょうか?

廣石:
プロジェクト単位でやるのが基本ではあります。なにか経営課題があって、それをクリアするために、たとえば資金繰り管理を精緻にしたり、採用をうまくやりたいといったオーダーがあるわけですね。

その課題にトライするために見積もりを出すのですが、その際に「半年間、月に1回2時間のセッションを繰り返してこの目標を目指しましょう」と提案しています。言い換えると半年の顧問といった形で契約することが多いですね。

まずは前月の振り返り、その進行状況のチェックをします。そこからセッションが始まって、その月に発生した具体的な課題を見て、今後起こると予想される課題をあぶり出します。次にその対処方針を決めて、具体的な行動計画を決めて、その内容をチェックしていく。年に一度の決算が出たら前期の振り返りをすると。そんな感じでやっています。

北:
ありがとうございます。

かなめねっとはどのような契約形態?

北:
かなめねっとについてお伺いしたいという質問が来ています。

「かなめねっとの契約は顧問契約になるのでしょうか? それともかなめねっとというサービスの利用契約という形でしょうか?」

顧問契約のサービスの一部として、オンラインで相談ができる「かなめねっと」というサービスが組み込まれているというイメージですか?

畑山:
おっしゃるとおりです。かなめねっとは紹介資料をきちんと作っていて「こういうことをします」ということをすべて言語化しています。

この資料から漏れるものや、個別に対応するものについては、別途個別契約させていただきますという内容で、資料に全部組み込んである感じですね。

北:
かなめねっとはオンラインサービスですが、オンラインで顧問契約が完結しているというわけではなく、畑山先生が実際にお伺いする、たとえばサーフィンに行くときに一緒にお伺いするという、そういったことも全部トータルで含めてのサービスというイメージになりますか?

畑山:
そうですね。ご利用者様からするとかなめねっとは弁護士にアクセスしやすくなるためのツールなので、オフライン、オンライン関係ないんですよね。

北:
なるほど。それでは「リアルでお会いします、オンラインでも対応できます」と説明するためのかなめねっとというイメージになりますか?

畑山:
かなめねっとのメインは、あくまでもオンラインです。地方のお客様が非常に多いので、チャットワークをフル活用していただいて、弁護士が行かなければならない事件が起こったときや、直接来て研修を受けたいという依頼がきたときには、日本全国どこにでも行っています。

北:
そうなるとオンラインと対面の割合としてはオンラインが主っていう感じですね。

畑山:
はい。感覚ですけどオンラインが9でリアルが1あるかぐらいですかね。

他資格はどんなシナジーを生む?

北:
続きまして廣石先生へのご質問です。

「先生は中小企業診断士、弁護士の資格を両方お持ちでいらっしゃいます。もしかしたら資格はもっとお持ちなのかもしれませんが、登録をされているのは中小企業診断士、税理士、弁護士であると。資格のシナジー効果はどのようなものがありますか?」という質問が来ています。

廣石:
うちの事務所のビジョンは「中小企業やベンチャー企業をサポートして社会を元気にしていく」です。弁護士の皆さんなら「先生の専門は何ですか?」「得意分野は何ですか?」「何法に詳しいんですか?」という質問はどこかで必ずされたことがあると思うのですが、中小企業診断士の資格を持っていると、この説明がほぼ不要になるのが大変お得です(笑)。

「弁護士と中小企業診断士なんですね。ならば中小企業関係のお仕事や企業関係の仕事が得意なんですね」と、相手が勝手に理解して話してくれるので、「はい」というだけで終わります。一種のマーケティング戦略としては非常にコストが安いと思います。

北:
業務自体にシナジーはありますか?

廣石:
なにかトラブルがあったら解決する、という話はもちろんなのですが、うちの事務所はトラブルが発生していない時期でも前向きな経営の相談をお受けしますし、資金繰りや借り入れのご相談はもちろん、事業計画作成のご相談にも乗れるので、よかったら一度お話ししませんか?と気軽にご提案できるんですよね。これは非常にメリットが大きいと思いますし、受任したら先ほどの話した通りの具体的な業務もやっています。

事務所経営の失敗談は?

北:
では次は畑山先生にご質問です。

「セミナーを始めた当初はさまざまなトライアンドエラーを繰り返していると思いますが、お話ししていただいたもの以外に、特に若手時代でどんな挑戦と失敗をしましたか?」というご質問がきています。

畑山:
2つあって、ひとつは先程講演で触れたオンラインへのシフトです。

3ヶ月に1回、リアルにご訪問してヒヤリハット研究ゼミというセミナー型の研修を実施するのに限界を感じ始めたときに、オンラインでWebセミナーをやったらいいんじゃないかと思いついたのです。

法人は月額9,800円、個人は月額980円という値付けで、サブスクリプション型のオンライン講座事業のようなものにしようと考え、ホームページまで立ち上げたのですが、労力がかかる割にはニーズがなかったので、Webセミナー用の動画を2本だけ作ってやめました。それでも契約してくださった方には、お電話で謝罪して「違う形でがんばります」とお伝えしました。

もうひとつは、司法修習生のときに先輩の弁護士先生の相続セミナーの集客を手伝ってほしいと頼まれまして、企画、運営、集客までほんとうに全部任されました。

全力で集客したのですが、来ていただいたのは生活保護の方ひとりでした。集客で大コケしたというか、最終的には来ていただいた方と仲良くなれてありがたかったのですが、その失敗を機に「どこに集客をしに行くのか」をしっかりと考えて集客しないとダメなんだと学びました。

その失敗したセミナーの集客は、一軒一軒チラシを撒いていったんですよね。真夏の炎天下、熱中症で倒れかけながら1,000枚ぐらい撒いたんですけど、それで集客できたのがひとりだったんです。世間話をしていた道端のおばあちゃんが来てくれたっていうだけ。

がんばったんですけどそれでも失敗したので、次は「相続のセミナーを聞きたい人はどこにいるんだろう」としっかり調べました。すると、そういった相続に関する勉強会をやっている団体があったので、アポを取って「プレゼンさせてください」とお願いして、その勉強会にお邪魔させて頂き、そこで「今度相続セミナーをやるので来て欲しいです」と集客したら、定員30人が一気に満員御礼になったというひとつの成功体験が、修習生のときにありました。

北:
失敗からちゃんと学んで次に生かす。失敗しておしまいではなく、なぜ失敗したのかという分析、そこからの改善策の実行が重要ということを身をもって体験されたのですね。

畑山:
はい、でも失敗したときには本当に泣きそうになりましたし、なにより人に迷惑かけるので自己嫌悪に陥りますね。

弁護士・スタッフの採用はどのようにしている?

北:
では次の質問です。これはお二人に聞こうと思います。

まずは廣石先生にお伺いしたいのですが、「事務所に所属する弁護士と事務局の人数はどのような考え方で配分を決めていますか?弁護士であれば短期で独立退職してしまう人もいるでしょうし、パートナーになりたいという人もいるでしょう。事務局もアルバイトで雇うのか、正社員として雇用するのか、という点は、事業計画も考慮してどのような視点で考えていますか?」というご質問です。

廣石:
どういう雇用形態か、具体的な給料はいくらか、といった点はひとまず置いといて、人数の観点だけをまずお答えしますと、事業計画で数値計画を立てて、次年度あるいは3年・5年先の目標数値を決めます。

過去の経験から売り上げはこのぐらいになるだろう、だいたい受任件数がこれぐらいで、さばくには弁護士は何人必要だな、その弁護士もたとえば3年から10年ぐらいの中堅でないと難しいかな、といったことはある程度予測がつきますので、そこから「この年度には弁護士が何名必要だな」とプロットしていきます。つまり、事業計画から逆算して採用活動するというのがご質問への回答になります。事務局も同じですね。

この計画を立てるために、ひとりあたり持っている件数などをリアルタイムで把握できるようにしており、新規受任件数も今期中に終了した件数も同時に把握できるよう、システムを組んでいます。

北:
リソースの配分や規模を考えるためにも事業計画を立てているから、逆算して考えられると言うことですね。「今足りないから採用する」ではなく、「この頃にはこれくらいの人数が必要になるだろう」ということがある程度読めると。

廣石:
はい、そうです。人間は出力が100%を超えても3ヵ月程度なら踏ん張れますが、それ以上はしんどくなってしまいます。また、そうした状況も退職の原因になってしまうと考えているので、出力平均が80%を超え出すぐらいから採用を考え出すようにしています。

北:
ありがとうございます。採用について畑山先生はどのようにお考えですか?畑山先生も事業計画を立てていらっしゃると思うので、それがあるという前提でのお話になるかと思うのですが。

畑山:
はい、先ほど廣石先生の講演パートでもお話がありましたが、経営をしていると暗中模索のなか車で100キロ出して運転しているような精神状態に、僕もしょっちゅう陥ります。ですので、将来のリスクを数字に基づいて分析していく時間を廣石先生と定期的にもたせていただいています。

「仕事の数に対して、この人数だとこの先大変だぞ」といったご指摘をいただいて、それならばいつ何人採用しないといけない、採用するにしても誰でもいいわけではない、どうやって採用戦略を打ち出そう、どうやって潜在応募者に情報を伝えていこう、というようなことを一緒に考えてもらっています。

ですので、基本的な考え方は廣石先生がおっしゃられたままなのですが、ひとつだけ僕が付け加えるとすれば、弊所は組織図を作っています。

ビジョンやミッションを達成するためにはどんな組織が必要なのか、ということを、組織図を作っていくと、自然に「この機能にこういう人を配置しないといけないな」「自分たちの事務所の中にそういう人いるかな」「この人が向いていそうだな」「じゃあこう配置してみようか」とか、逆に「そういう人はいないな、じゃあ採用しないといけないな」というように、中のスタッフを育てる、もしくは外から連れてくるという方向性を選ぶことができます。

組織図をもとに人材の配置を可視化することは、経営者弁護士にとってはすごく大事なんじゃないかなと常々思っています。

ビジョン・ミッション作成時のポイントは?

北:
ありがとうございます。最後に私からもう少しだけ質問をさせてください。

おふたりの思考や行動のベースにはビジョンとミッションがあるとこれまで伺いました。その上でまず廣石先生にお伺いしたいのですが、ビジョンやミッションを考える、もしくは作るときに気をつけるべきこと、考えるべきことにはなにがあるのでしょうか?

廣石:
「いまはこの業務で食えているんだから、この業務を軸にして考えよう」という発想はやめた方がいいと思います。そもそも、やれること、できること、やりたいことはそれぞれ別のはずなんですよ。これらが一致している人は大変幸せだと思うんですけれど。

ビジョン、ミッション、パーパスは、今できていなくても良いと思います。それよりも「10年後や20年後にはこうするぞ」という意志が大切だと思いますので、たとえば畑山先生のように特定の業界に特化してその業界の皆さんを支えていくというビジョンが現時点で固まっている人のほうが少ないのではないでしょうか。

ご自身がやりたいと思うこと、それが自然と自分の心の琴線に触れるまで思考を突き詰めてみるのが大事かなと思います。

北:
ありがとうございます。作った自分の心の琴線に触れるという点についてさらにお伺いしたいのですが、個人としてのビジョン、ミッションと、事務所を経営する、もしくは事業をやっていく上でのビジョン、ミッションというのがそれぞれあるけれど、これは全くイコールのものではないと思うんですよ。

個人と事務所、それぞれの思いはどうやってつなぎますか?もしくは、シームレスにつないだほうが良いとお考えになりますか?

廣石:
前提として、職業人としての姿、家庭人としての姿、一個人としての姿、3つの場面って切り離せないと考えています。畑山先生にも以前お伝えしたことがあるのですが、これら3つの姿は車のホイールみたいなもので、どこかが突出して飛び出していたり凹んでいたりするとうまく回らないんですよね。ガタガタしちゃう。

だから、どれかの成長に合わせて残りすべてを成長させるべきだと私は考えていて、どうやったら自分の幸せが事業の幸せと家族の幸せにもつながるのか、ということを、答えはないのですが考え続けるしかないと思うんですよ。

さきほどお話したように、心の琴線に触れない、お金のためだけに事業目的を立ててしまうと、事業と自分が乖離して途中で辛くなってしまいます。ある程度お金が貯まったら事業はやめてしまうでしょうし、突き詰めて最後まで突っ走れないと思うので。

北:
ありがとうございます。

畑山先生はご講演のなかで、個人のビジョン、ミッションというか「仕事・家族・サーフィン」が大事であるとおっしゃいました。畑山先生の人生の目的として、これらと弁護士法人かなめとして手掛ける福祉の部分は、どのように接続するとお考えですか?

畑山:
廣石先生がおっしゃっていた車のホイールのたとえは、僕も本当にその通りだと思っています。ワークライフバランスという言葉、一時期流行りましたよね?今もワークライフバランスは大切だという風潮にあるとは思いますが、この言葉は解釈を間違えている人が多いなと思っています。

「ワーク」と「ライフ」は別だと切り離してしまっている。だから、仕事時間と趣味の時間、プライベートの時間は完全に切り離しますと思う人がいる。僕も昔はそうなのかもしれないと思っていた時期があったのですが、これらは連続していると今は考えています。

プライベートが充実すれば仕事もやる気が出るし、仕事がうまくいけばプライベートも充実する。仕事とプライベート、僕は統合するほうがしっくり来るなと思って生きています。

その前提で皆さんにお聞きいただきたいのですが、自分の中で大切にしている価値観と、自分が大切にしている価値観を事業にどう反映するのかということは、連続しています。そう捉えると、自分の事業を一生懸命やってることと自分のプライベートが矛盾する場面は、ありません。

ただ、駆け出しの頃、今も駆け出しなのですが、最初は矛盾を感じていました。ビジョンやミッションなんて何も考えていなかったんです。とにかく行けるところまで行ってやれとだけ考えていました。

ある時、とあるセミナーで「売り上げ一億円の壁は気合いと根性で突破できる」と話している先生がいました。それを聞いて「そうなんだ。それなら気合いと根性で行ってみよう」と思ってやってみました。すると、たしかに壁は越えたんですけど、壁の向こう側には何もないというか。

駆け出しの頃、自分のキャッシュでいろいろトライしてみたのですが、面白くなかったんですよね。飲み営業をしていても、「オレは仕事をもらっているからこの人と飲んでしゃべっているけど、この時間ってオレは楽しいと思っているのかな?」と考えると、つまらないんですね。その流れで不機嫌な顔になって家に帰ってしまうと、家族とも良くない関係になってしまいます。

仕事とプライベートはつながっているんだと考えたときに、「全部の状態を幸せにしていこう」と思いました。いまの僕は「福祉事業者の方々に特化してやるんだ」という思いがあって、自分の生活感、価値観、事業観と全部合うなと感じていて、がんばれています。

ただ、いま一緒にがんばってくれている所内のメンバー、もしくはうちの事務所で働きたいと言ってくださる方々に対しても、僕のこの価値観を押し付けるつもりはないんです。人それぞれが見つけるべきだと思っています。

「絶対これしかない、これがすべてだ」と僕の理念や考えを押し付けるのは違うと思うんです。ただ、「少なくとも共感できる、これって大事だよね」と事務所の考え方を受け入れてくれる人に入所していただくには、事業としてのビジョン、ミッションを策定していることは非常に大きな意味があるなと、個人的にも事業としても思っている、そんな感じです。

うちの事務所の理念に共感する人と一緒に働けたら、幸せですね。


北:
ありがとうございます。まだまだ無限にご質問したいことはありますが、時間も過ぎましたので、パネルディスカッションはこれでお開きにしたいと思います。お二人ともありがとうございました。

廣石:
ありがとうございました。

畑山:
ありがとうございました。

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