GVA TECH株式会社では、テクノロジーで契約業務に関する課題の解決を目指すだけでなく、弁護士の先生方へお役に立つような情報発信を行っています。その一貫として、弁護士の先生向けに、業務効率化や顧問獲得に関するセミナーも開催しています。
今回は、弁護士法人GVA法律事務所の代表弁護士を務める小名木 俊太郎先生と、タイムクラウド代表取締役の西小倉 宏信氏をゲストスピーカーにお招きし、法律事務所の売上UPとコストDOWNをテーマにお話しいただきました。また、第三部は弊社セールスマネージャーの伊藤から、GVA assist をご紹介しました。
小名木 俊太郎 氏
弁護士法人GVA法律事務所
弁護士/共同代表
2008年 慶應義塾大学法学部 卒業
2011年 明治大学法科大学院 卒業
2011年 最高裁判所司法研修所 入所
2012年 八重洲総合法律事務所 入所
2013年 東証一部上場企業法務部へ出向
2016年 GVA法律事務所 入所
2016年 and factory株式会社 社外監査役就任(現任)
2018年 GVA法律事務所 パートナー就任
2019年 Capy株式会社 社外取締役就任(退任済み)
企業法務においては 幅広いサービスを提供中。
信託型ストックオプション、FinTech、EC、M&A・企業買収、IPO支援、人事労務、IT法務、上場企業法務、その他クライアントに応じた法務戦略の構築に従事する。セミナーの講師、執筆実績も多数。
西小倉 宏信 氏
タイムクラウド株式会社
代表取締役
2007年関西大学総合情報学部卒。同年株式会社ラフノート株式会社設立。創業時の主な収益源はWebシステムの受託開発であったが約10年間、ほぼ全ての案件を一人で受注。プログラミングができるので技術的な質問に対して持ち帰らずに即答できる事が多いのが強み。2013年に「クラウドソーシングで1カ月どれだけ稼げるか企画」への参加をきっかけに時給制業務委託の可能性感じてタイムクラウドを企画。2017年別法人化。2021年資金調達。
GVA法律事務所はなぜTimeCrowdを導入したのか
GVA法律事務所は、250を超える顧問先の約8割がITベンチャー企業で、顧問先から依頼される契約書レビューや適法性リサーチなどの業務を多数手掛けています。ここ数年で所属弁護士が増え、顧問先からの依頼も増加していくにつれ、Googleスプレッドシートで案件を管理しきれなくなったことなどをきっかけに、業務改革の必要性を感じたといいます。
現在では、コミュニケーション、営業支援、業務管理などの目的に応じてさまざまなITツールを導入しており、そのなかでも目に見えて貢献度が高いのが、時間管理ツール「TimeCrowd」とAI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist 」です。
法律事務所におけるTimeCrowd導入のメリット
TimeCrowdは、各種タスク管理ツールとも連携し、打刻(クリック)するだけで、タスクごとの稼働時間を管理できるツールです。操作はシンプルで、小名木先生もTimeCrowdの良い点の一つにUXの良さを挙げています。
法律事務所がTimeCrowdを活用するメリットには、「適切な請求ができる」「マネジメントに役立てられる」の2点があります。この2点はユーザーである小名木先生に加え、ツールを開発・提供するタイムクラウド社の西小倉さんも、法律事務所によるTimeCrowd活用のポイントとして挙げています。
TimeCrowd導入の効果1:適切な請求ができる
TimeCrowdが適切な請求につながる背景には、弁護士の実際の稼働時間とタイムチャージによる請求金額とが必ずしも合致しないという、法律事務所が抱えやすい課題がありました。
GVA法律事務所も当初、アソシエイトが遠慮してしまったりすることで、本来チャージすべき稼働時間を厳密に管理できていないなど、「適切な請求が行えていない」という課題を抱えていました。また西小倉さんによると、本来であれば稼働時間に応じて月額顧問料を設定すべきところ、赤字の顧問先を他の顧問先の黒字で補てんするような法律事務所のケースも見られるといいます。
このような状況に対し、TimeCrowdを活用すると、顧問先ごとの稼働時間を計測することで赤字・黒字の現状を可視化できます。これにより、赤字の顧問先に対してはデータを根拠とした適正な価格交渉ができるようになり、双方に納得感のある請求の適正化が実現します。
この基本機能以外に、カスタマイズでさらに緻密な可視化も可能です。西小倉さんはデモで「時給原価 x 1.8」を赤字・黒字ラインと定めたケースを紹介し、自社の基準に合わせた赤字・黒字・が一眼でわかるダッシュボードを紹介しました。
TimeCrowd導入の効果2:マネジメントにも活用
TimeCrowd活用のもう一つのメリットが、マネジメントにも役立てられる点です。
一人ひとりの弁護士について、TimeCrowdの使用状況を確認できるため、急に打刻が減っている弁護士がいれば「業務効率が低下しているかもしれない」と早めに声をかけることができたり、特定の業務に過度に時間を使っている弁護士がいれば、詳細をヒアリングし本質的でないことに時間をかけすぎていないかを確認できたりします。
こうした特徴はコロナ下でのテレワークとも相性が良く、小名木先生は「マネジメントにおいて、コミュニケーションや具体的なアドバイスのきっかけになり、結果として弁護士のスキルアップにもつながっている」と話しました。
このメリットを活用した具体例として、西小倉さんが「対顧客活動の時間を増やし、学習の時間は12.5%を目指す」としたケースを紹介しました。弁護士にとって日々の勉強は不可欠ですが、その時間が多すぎると対顧客活動が減ってしまいます。そこでこのケースでは稼働全体の12.5%を適正な勉強時間と定め、TimeCrowdの活用によって適正な勉強時間の確保を実現しました。
TimeCrowdのその他の機能
シンプルなUIで簡単に打刻できる点や、業務管理ツールと連携できる機能が、これらの効果を支えていますが、他にもさまざまな使い方があります。
業務内容と時間が紐づいたデータは、人別、プロジェクト別、クライアント別などさまざまな軸で、費やした時間を長い順に表示したり、対象者や期間を絞り込んでレポーティングすることも可能です。また、絞り込んだ条件の結果をCSVでダウンロードできるため、請求金額の根拠としてクライアントにそのまま提出することもできます。
AI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist 」の活用
TimeCrowdと合わせて、GVA法律事務所ではもちろんAI契約書レビュー支援クラウド GVA assist も活用しています。導入の狙いはTimeCrowdと同じく、顧問業務の大部分を占める契約書業務の効率化です。GVA assist は企業の法務部門でも活用されていますが、法律事務所においても、契約書のドラフト作成やレビューにおいて効率化を実現しています。
GVA assist 導入の効果:レビュー品質向上と顧客サービスの向上
GVA assist には契約書レビューに関するノウハウを弁護士がまとめた「プレイブック」が多数格納されています。レビュー対象の契約書とプレイブックをAIが条文単位で照合し、レビュー時の観点や修正条文例などを瞬時に見られることで契約書レビューの「読んで直す」手間を効率化しています。
また、抜け漏れチェックのようないわば「作業」は、人間よりもAIの方が得意な領域です。GVA assist が示すリスクの抜け漏れや、普段あまり取り扱わない契約書をレビューする際にすでにまとめられているレビュー観点や条文例を多数見ていくことにより、レビュー業務の効率化はもちろんのこと、若手弁護士のセルフラーニングも可能になります。
もう一つの効果は、契約書レビューにかける業務時間が短くなるによって、顧客や顧客の事業に向き合う時間が増えて、弁護士本来の価値をさらに発揮できるようになることです。GVA assist をとおすことで、リスクの抜け漏れやレビューの観点が平準化されることによって、アソシエイトの1stレビューの品質向上だけでなく、2ndレビューの時間短縮にもつながり、結果として事務所全体として、顧客への提供サービス向上が可能になっています。
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GVA assist
GVA assist の特徴
第三部では弊社の伊藤から、ツールを提供している側として、GVA assist 活用のポイントをお伝えしました。
GVA assist が解決できる課題・不安は、契約書を「読む」「直す」「仕上げ」の三つに分類でき、さらに担当者目線での不安は以下のように細分化できます。左が担当者の課題・不安、右がそれを解決するAI契約レビューの機能です。
また、法律事務所によるGVA assist 導入後の成果として、契約書レビューに関するナレッジの蓄積による事務所全体での高品質化や、ドラフティングの効率化による時間の使い方の改善、企業法務の支援強化などを紹介しました。
各機能や多様な事例からも分かるように、GVA assist を活用するには、「何を効率化したいか?」をまず明確にしたうえで、それがツールで解決することなのかを考えることがポイントです。先述したAIの得意領域に関連して、定型的な契約書レビューほど、そしてその作業量が多いほど効果が出やすいという特徴も、ぜひ知っておいていただければと思います。
法律事務所で導入したツールを定着させるためのポイント
新しいツールを導入するときに避けて通れないのが、「社内で使われない」「運用にうまく乗らない」といった課題です。さまざまなITツールを駆使しているGVA法律事務所でも、当初はなかなか新しいツールの活用が定着しなかったといいます。その経験をふまえて小名木先生は、ツール利用定着のポイントとして次の二つを挙げました。
一つ目は、トップが率先して使い、かつ現場にも使うよう言い続けること。
もう一つは、ツールの活用を必須と定め、評価の観点に組み込むことです。
また、これらの土台として、マニュアルを自作して適宜更新し、PDCAを回し続けることも重要です。
GVA法律事務所はTimeCrowdの活用によって追加課金率30%アップ、全体売上も10%アップし、GVA assist の導入によって契約書チェック業務にかかる時間全体を20~30%圧縮しました。
まとめ
TimeCrowd導入のメリット
- 正確な稼働時間の把握と可視化により、データに基づいた適正な価格交渉が可能になる
- 業務内容ごとの稼働時間量を管理することで本質的な業務に時間を使うことができ、顧客サービスの向上につながる
- 弁護士の稼働状況を把握し、マネジメントにおいて具体的なコミュニケーションができる
GVA assist 導入のメリット
- 契約書レビューの品質を事務所全体で標準化できる
- 若手弁護士のセルフラーニングか可能となり、人材育成につながる
- 契約書レビューを効率化することによって生まれた時間で、本質的な業務に時間を使うことができ、顧客サービスの向上につながる
- ドラフティングにつかえる豊富なひな型があり、契約書作成も効率が上がる