GVA assist は、テクノロジーで企業法務部の契約業務に関する課題解決を目指すだけでなく、企業法務担当者様にとってお役に立てる情報発信を行っており、その一貫として、契約法務業務に関するセミナーを開催しています。
今回は、GVA assist が注力しつづけている「契約書レビュー(契約書審査)」をテーマに、弁護士法人GVA法律事務所 タイオフィス代表/弁護士 藤江 大輔さんにご登壇いただき、
「そもそも、契約書のレビューとはどういった業務か?」
「契約書レビュー業務において、抑えておくべきポイントは?」
などについて、契約書を実際に見ながら、40分超のセミナーを開催しました。
本レポートは、セミナーの概要をまとめたものです。
※アーカイブ動画をご覧になりたい方はフォームよりお気軽にお問い合わせください。
目次
契約書レビュー業務の基本
藤江さんからは、まずは契約書レビュー業務の基本をお話しいただきました。
契約書レビュー業務は「事業価値を創造するためのもの」であり、事業の価値を毀損するものではありません。事業部門からレビューを依頼される際、リスクを指摘することは求められているものの、業務の前提として「事業を前進させるため」ということを失念してはなりません、とのこと。
契約書をレビューする、とは?
上述の前提をふまえると、契約書レビューとは「自社にとって有益な取引を成約させるための行為」と言い換えられます。ここで重要なことは、自社にとって「法務上有利な」取引は、すなわち有益な取引であるとは限らない、という点です。
法務上不利であっても、自社にとって有益な取引というものは、実際には多々あります。言い換えると、自社にとって法務上不利な点と、自社のベネフィットを天秤にかけられるかどうかが、事業を前進させられる法務担当かどうかの違い、でもあります。
その上で、契約書レビュー業務とは、「自社が望む取引条件」と「相手方が望む条件」との差分を把握して、自社が期待する取引を実現するために、契約内容を確認・修正すること、だそうです。
契約書レビューのプロセス
藤江さん曰く、契約書レビューのキモは「差分を把握すること」です。それでは、差分を把握するためにはどういうプロセスを経るべきでしょうか?
事業部からきた契約書をみて、契約内容の把握をする前に、2つの重要なステップがあります。
話がすこしずれますが、コンサルティングの世界には as-is(現在)と to-be(未来)という言葉があります。as-isを分析して、to-beとのギャップを整理し、to-beに向かうための施策を実行する、といった言い回しにつかいます。
これは契約書レビューにも通じるものがあります。
まずは【1:取引の把握】Phaseで、自社として目指す利益≒to-be(未来)を把握する。
続いて【2:取引条件の把握】Phaseで、手元にある契約書≒as-is(現在)を理解する。
この2つのプロセスをきちんと辿ることで、差分が浮かび上がってくるわけです。
差分のとり方には3パターンある
実際に契約書の内容をレビューする【3:契約内容の把握】において、「差分」とは大きくわけると3つのパターンが存在します。
パターンA 自社が想定している内容と、契約書の記載内容が異なる
パターンB 自社にとって含まれるべきではない内容が、契約書に含まれている
パターンC 自社にとって含まれるべき内容が、契約書に含まれていない
パターンCの「不記載事項」への対策とは?
目の前にある契約書からは、「これは書かれていない」というヒントは、当然ですが得ることができません。レビュー実施者自身が”気づく”必要があります。気づくためには、知識・経験の裏打ちが必要です。
つまり、パターンCにおいては、担当者の熟練度や知識に大きく依存するため、別の担当者になると気づかないまま締結に進む、といった「レビュー品質のばらつき」が生じてしまいます。
対策として、チェックリストを用意する、マニュアルを整備する、といった方法が挙げられますが、契約書レビュー支援サービスを用いることで「不記載事項」への対応とする、という考え方が最近徐々に理解されつつあり、GVA assist はここの機能強化にも注力している次第です。
契約書レビューの実践(動画、抜粋ver)
セミナー後半は、実際の契約書(業務委託契約書)を教材に、レビュー時の考え方やテクニックを具体的にお話しいただきました。
藤江さんから紹介されたレビューの手法として(多くの方もやっていらっしゃるかと思いますが)、条項をビジネス条項と法務条項に分類する手法を解説していただきました。
アーカイブ動画の抜粋版をご用意しましたので、ぜひご覧ください。
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まとめ
藤江さんいわく、契約書レビュー業務には「こうしておけば良い」という「正解」はありません。「自社にとって有益な取引を成約させるためにはどうすればいいか」という視点に何度も何度も立ち返って、契約書レビューに取り組む必要があり、それが会社の利益や価値のある法務業務につながります。
講義内容はアーカイブ動画でご覧いただけます。ご覧になりたい方は以下よりお進みください。