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ISO31022とは?規格の概要や法務部門への影響について解説

新型コロナウイルスの影響による非常事態宣言のさなかの2020年5月に、国際標準化機構(ISO)から、法的リスク管理の標準規格であるISO31022が発行されました。

企業が法令遵守やコンプライアンスを遵守することは当然ですが、それらだけでなく、知的財産や海外での訴訟、M&Aなどを対象にした、より高度で戦略的な法務への対応まで含めた組織要件のガイドラインです。

本記事では、ISO31022について、規格の概要から法務部門への影響などを解説します。

そもそも「ISO」とは?

そもそも「ISO」という言葉自体、「聞いたことはある」「うちの会社でも認証を取っている」「名刺に記載されているものですよね」「いろんな番号がついているものですよね」など、断片的な理解の方も多いかもしれませんが、ビジネスシーンでは浸透が進んできました。

ISO(アイエスオー)は国際標準化機構というスイスのジュネーブに本部がある非営利法人で、そこで定められた国際規格を「ISO規格」と呼びます(略して「ISO」とのみ呼ぶ場合もあります)。

規格の対象は幅広く、製品そのものを対象にしたものから、組織活動を管理する仕組み(マネジメントシステム)まで、現在では20,000種類以上の規格があり、それぞれの規格は「ISO+数字」の形式で表現されます。

ISOには世界162ヶ国の機関が加盟しており、加盟機関が属する国の間で標準規格として活用されています。多くの国であらかじめ標準的に使える前提になっているため、加盟国間では同じ基準で確認でき、個別に確認する手間が省けるようになっています。

このISO規格の中でも、組織におけるさまざまな規程や責任、権限を体系化したものを「マネジメントシステム」といいます。

代表的なものとしては、

  • ISO9001:品質マネジメントシステム
  • ISO14001:環境マネジメントシステム
  • ISO27001(ISMS認証):情報セキュリティマネジメントシステム
  • ISO31000:リスクマネジメント規格

などがあります。このマネジメントシステムの中には、利害関係のない認証機関が認証を発行する制度の対象となるものもあり、ISO規格の認証を取得していることで、取引先の信頼感や社会的な信頼が得られるといった効果があります。

ISO31022とは?

ISO31022はISOの一種で、「法的リスク管理(リーガルリスクマネジメント)」を標準化するためのガイドラインです。数字的にはISO31000と近いことからわかるとおり、リスクマネジメントから派生しています。

ISO31000はリスクマネジメントのガイドラインで認証を目的としたものではありません。同様に、ISO31022も現在のところ認証制度はなく、ガイドラインとして発行されています。

これまでも「法的リスク管理」は、企業や法律事務所の中でも重要な論点として対応が進められてきました。とはいえ、必要なスキルや内容が体系化がされていない状況では、一部のリスク管理への関心が強い社員や弁護士の強みとして閉じてしまい、広く有効活用されにくい、という面もありました。

それがこの度あらためてガイドラインとして発行されることで、要件を標準化し、到達状況をチェックし、組織として法的リスク管理を取り入れやすくなることが、最大のメリットといえるでしょう。

今まで個人の力によってカバーされてきた知見が一般公開されるため、法務やリスク管理のスキルをステップアップさせる機会として注目されています。

ISO31022日本語版について

ISOは国際規格ということもあり、ISO31022は2020年5月にまず英語版が発行されました。どの規格も英語から発行され、日本語化ニーズの高いものから和訳されるのが一般的です。

5月の発行後、国内においては「日本組織内弁護士境界(JILA)」の有志の方々により翻訳が進み、2020年11月2日に日本語版が発刊されました。

現在は日本規格協会のWebサイトで英語版と日本語訳版がセットで販売されており、誰でもISO31022の内容に触れることができるようになりました。

日本規格協会グループの販売ページ

ISO31022の法務部門への影響は?

これまでも、法務や管理部門でISOという単語を目にすることがあったという方は多いと思います。契約書や覚書に記載されていたり、ISOの認証取得自体に関わった経験のある方もいるでしょう。

ISO31022は「法的リスク管理」が対象ということもあり、法務の業務そのものに関係するISOとなりました。今後、この規格を前提にした業務や、海外企業との取引においてガイドライン遵守を求められたりといった影響が想定されます。

短期的には業務的な負荷が増えるかもしれませんが、ガイドラインを組織に取り入れるメリットも踏まえて戦略的にとらえることが必要になります。


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戦略法務のカギとなるISO31022

ISO31022は言うまでもなく戦略法務とも関わりの強いものになります。

テクノロジーの進歩、スタートアップ企業や新規事業を通じた未知のビジネス領域の開拓、さらに新型コロナウイルスの影響など、ビジネス環境はますます複雑で予想が難しくなるなか、ビジネス環境において、戦略法務という機能のニーズが高まっています。

関連記事:戦略法務とは?予防法務や臨床法務との違いから具体例、必要なスキルを解説

ISO31022の対象に含まれる知的財産の活用や海外進出時の法的リスク管理、「グローバル」「標準化」といったキーワードは「属人化」「ブラックボックス」といった言葉とは反対の概念であり、ISO31022と戦略法務の実現の前提要件には多くの共通項があると考えられます。

「戦略法務」自体は以前からあったキーワードですが、この数年、法務におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とセットで用いられることが増えてきました。

デジタル活用を前提とした法務の業務変革により、効率化はもちろん、属人化の解消、再現性の向上といった効果が得られます。戦略法務を実現するためにはこれらが実現できていることが必要、とするのであれば、ISO31022は戦略法務や法務のDXを支える一要素になるのではないでしょうか。

おわりに

法的リスク管理を対象にしたISO31022についてご紹介しました。この度の日本語訳版の発行をきっかけに、書籍や雑誌での紹介やセミナー・勉強会の増加も予想されます。理想の法務を実現する上ではこの規格の理解は必須になるでしょう。

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