白土文也法律事務所 代表弁護士 白土 文也先生に、GVA assist の導入背景や目的をお伺いしました。
貴所の業務内容や特長・得意分野についてお教えください。
弊所は、2014年の開業以来、相続と中小企業の顧問業務に注力しています。いずれも、争いごとを未然に防ぐ、いわゆる予防法務が可能な分野ですが、個人はもちろん、中小企業についても予防法務が浸透しているとは言えない状況にあり、それを社会課題と捉えて注力することにしました。
また最近は、家族信託や事業承継にも力を入れています。特に事業承継は、相続問題と中小企業法務の両方にまたがる分野であり、かつ、重要な社会課題ですのでやりがいを感じております。今後は、事業承継の手法の一つである小規模М&A(スモールМ&A)の支援にも注力する予定です。
もともとは、主に個人に向けたリーガルサービス(相続・離婚・債務整理など)を提供する法律事務所の弁護士としてキャリアをスタートしました。もっともそれ以前に、司法試験合格後の司法修習を遅らせて、ベンチャー企業の社員として2年間勤務し、企画・営業・資金調達などを経験しています。
そこでのご縁で、弁護士1年目からその企業の顧問弁護士として、契約書チェック、事業の法適合性の検討、上場企業へ売却する際のサポートなどを経験し、また売却後は上場企業のグループ会社となりましたが、引き続き顧問弁護士として関与させて頂き、予防法務の重要性を感じておりました。
また、弁護士4年目には、上海の法律事務所に勤務する機会がありました。権利意識が高く、日本よりはるかに競争が激しく、そして欧米のような契約社会である中国を実体験し、より一層予防法務について意識するようになりました。
所属弁護士は現在3名で、もう1名採用予定です。企業の顧問先は中小企業が中心ですが、ビジネスの変化が激しいスタートアップ企業や、税理士・司法書士・社会保険労務士など士業事務所も顧問先にいらっしゃいます。
現在のレビュー体制や、その頻度について、具体的にお教えください。
顧問先の企業は、弁護士の活用意欲がさまざまで、「契約締結の交渉から弁護士に入ってほしい」という企業もいらっしゃれば、重要な取引の契約書だけ見てほしい、という企業もいらっしゃったりします。
そんななか、前者の企業のご支援として契約締結の交渉に介在しますと、現場のご担当者が契約上のリスクを把握していないことに気づけたりします。また、中小企業のご担当者同士では、争いのある条項と争いのない条項を整理しながら交渉を進めることをあまり意識できておらず、それが原因で判断が出来なかったり、交渉が進まない印象を受けます。いわゆる争点整理という弁護士としての基本的な能力が活かせる仕事だと思います。
企業からのレビュー依頼は、そこまで多くはありません。月に3~4件のときもあれば10件くらいのときもある、というくらいです。やはりビジネスが安定されている企業様からはレビュー依頼はあまりこず、ビジネスがダイナミックに変化している企業様からは多いですね。
直近で取り扱った契約書の類型は、業務委託契約書ですが、蓋を開けてみると内実は開発委託契約だったりマーケティング業務支援だったりと、バリエーションは豊富です。
GVA assist を導入するに至ったきっかけをお教えください。
リーガルテックに限らず、以前から業務の効率化に力を入れております。クラウド型電子契約サービス、Web会議、事務所内情報共有ツール、サブスク型法律書閲覧サービス、クラウドPBX、電話代行サービスなど、さまざまなツールを導入しています。
テクノロジーやサービスの導入で課題が解決することは多いと感じており、事務所経営者として、新しいサービスへの投資は怠らないようにしています。
企業法務に携わることを事務所設立時から考えていたので、レビューに関するサービスも以前から気にかけておりました。そんななかで、GVA assist をはじめ複数サービスを比較検討していましたが、コスト感や使い勝手、搭載されているノウハウのバリエーションなど、総合的にかんがみて、GVA assist を選びました。
GVA assist をお使いいただいたご感想をお教えください。
まず、AIリスク検知機能ですが、条文の不足や包含リスクの指摘が思った以上に出てきて、しかもシステムのレスポンスが速い印象です。「網羅的に指摘がある」ことで、顧問先へのリスク指摘時に「抜け漏れ」「見落とし」がなくなるのがありがたいです。
弁護士は顧問先の業務理解が深いので、顧問先が望むリスクの指摘や修正条文は独力で作れます。ですが、あってはならないことかもしれませんが、弁護士も人間なので極稀に抜け漏れが起きてしまったりします。GVA assist を通すとこで、一般リスクを網羅的に潰し、弁護士は顧問先の業務特有の内容検討に集中できるのは、良い役割分担だと思っています。
また、ドラフト作成機能も重宝しています。従来であれば、書式集やチェックリストを傍らにおいて、参照しながら逐一作成していましたが、GVA assist でほぼ完結するようになりました。
定量的に評価できる導入効果があればお教えください。
定量的に測ってはいないので数字では出せませんが、私がレビューする際にかかる時間はあきらかに減りました。特に、普段あまりみない類型の契約書レビューは、これまでであれば法律書を参照しながらだったため時間を要していましたが、GVA assist でそのリサーチ時間は大きく削減されました。
時間削減、という観点では、ドラフト作成機能も大きいですね。「契約書をレビューしてほしい」と言われ蓋をあけると内容がすごいことになっていて、もうこれはゼロから新たに契約書を作ったほうが速いし顧問先のためになるよね、というケースがあります。そういう場合、契約書作成を弁護士が稼働すると料金に跳ね返ってしまいますが、GVA assist でいったんドラフティングして、細かいところを修正すれば済むだけ、とできるので、顧問先にとってもありがたい機能です。
GVA assist への期待やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
リスク検知の結果をプリントアウトしたいですね。機能面では他にはとくになく、現状で充分使えています。強いてあるとしたら、搭載している契約類型のさらなる拡充を期待しています。
事例を読まれている先生に向けて一言お願いいたします。
小規模事務所でも、契約書レビューの件数が少なくても、充分ペイするサービスです。いままでなら自分自身で書籍を読んだり、チェックリストをみたりしていた契約書業務を、アソシエイトではない補助者が手伝ってくれる、そんな印象です。
あと、GVA assist は触っていて「楽しい」です、ワクワクします。子供の頃にはじめて買ったゲームのような感覚です笑。他の様々なITツールを触っていてもそういう気持ちにはならなかったので、契約書業務に携わる法律家であれば、一度触ってみてはいかがでしょうか。