Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士 片岡 邦弘先生(第一東京弁護士会所属)に、OLGA の導入背景や目的、効果などをお伺いしました。
貴所の業務内容や特長・得意分野についてお教えください。
弊所は、敷居が高いと思われがちな弁護士サービスを多くの方にご利用いただきたい、エネルギーを与えるパートナーでありたい、という想いを込めて、ハワイ語で「輝く太陽」を意味する「Linola(リノラ)」という名前にしました。
現在は、技能実習・特定技能を中心とした外国人の労務問題の予防・解決に注力しています。具体的には、技能修習生を受け入れる監理団体様へのご支援です。監理団体様は、契約や労務などのトラブルを抱え込みやすいにもかかわらず、その殆どが中小企業ということもあり、リーガルサービスが届いていないのが現状です。私自身がこれまでのキャリアの中で労働法を取り扱うことが多かったこともあり、監理団体様への支援に注力したいと考えた次第です。
現在2名の弁護士で活動しており、私は企業法務の支援が業務の8割以上をしめています。
現在のレビュー体制や、その頻度について、具体的にお教えください。
顧問先から契約書に関する依頼はそこまで多くなく、月に平均すると10~15件くらいでしょうか。技能実習生の受け入れに関する契約書や、海外の送出し機関との協定書など、おそらく一般的な契約レビュー支援ツールが標準では対応していない契約書の取り扱いが多いです。
よくある契約類型としては、人材派遣に関する契約や就業規則など、人事に関する契約書の取り扱いが多いです。
OLGA を導入するに至ったきっかけをお教えください。
契約レビュー支援ツールを導入したいと考えた一番の目的は「自分がやりたいと考えている外国人労務の業務に集中する時間を作りたかったから」です。
契約書のレビューはまとまった時間が必要で、かつ、集中して取り組まないと観点の抜け漏れリスクが高まります。そのため、ツールを使って効率的にレビュー業務を回せるようになれると、やりたい業務である外国人労務に集中できるのではと考え、いくつかのサービスを見て回りました。
比較検討を進めていく中で、安価なサービスは対応している契約書が少なく、レスポンスもイマイチで、別のサービスはそもそも費用対効果が見合うかちょっと疑問でした。そうこうして迷っていた時に、OLGA で弁護士向けプランが出たと知り、実際に試してみたところ、搭載している契約書ひな型の数も豊富で、操作性も機敏に動き、なにより使いやすかったので「これだ!」と思い、OLGAを選びました。
OLGA をお使いいただいたご感想をお教えください。
はじめて OLGA を触ったときに、Word上で使えるということの便利さを実感しました。
普段のレビュー業務の延長上にさまざまな機能・情報があるので、今までの契約書レビューのプロセスを変更する必要がなく、すぐに定着しそうな印象でした。他のサービスはWebブラウザで使うことが殆どで、OLGA もブラウザ版はあるようですが、レビュー業務の大半はWordで行っていることから、その延長上にあるサービスというのは思っていた以上に便利でした。
実際のレビューにおいては、OLGA に契約書ひな型がたくさん用意されているので、条文検索機能でフリーワード検索すると、参考になる何らかの条文が必ず出てくる印象です。そしてそのままコピーして使用する、もしくはその条文をベースにしながら追記するだけで、契約書の修正が完了します。
また、顧問先の中小企業の契約書業務は、受け取った契約書の内容を見ればいいだけではなく、構成がまちまちだったり、必要な条文が足りていなかったりするケースも多いのですが、OLGA のAIリスク検知で不足している条文をアラートしてくれるので、条文をクリック&コピーするだけだったり、ドラフト機能でゼロから書き出して調整すればレビューが完了するので、かなりの効率化が実現しました。
契約書ひな型について、一般的な弁護士はみなさんそれぞれで契約ひな型集を独自に作っているケースが多いと思いますが、OLGA は契約書ひな型の質量ともに充実しており、弊所にとっては実用的と感じました。
定量的に評価できる導入効果があればお教えください。
OLGA を使う前は、リスクの見落としにかなり気を使っていて、契約書レビューした後に一晩寝かせて、翌日もう一度見直してから顧問先に返す、といったフローでした。そのため、レビュー結果を顧問先に回答するのに1~2日はかかっていました。それが、OLGA を使うことで、一晩寝かせる必要がなくなり、2~3時間で顧問先に回答できるようになりました。
顧問先にとっても、弊所に相談した結果が数時間後には返ってくるというのは価値がありますし、その弁護士への信頼にも繋がります。例えるならば、1週間かかるけれど100点のレビューと、半日で85点のレビューとで、どちらも一定のリスクはきちんとヘッジできているのであれば、顧問先にとってどちらが有益かは明白、ということです。
ビジネスにおいてリーガルリスクをゼロにすることは現実的ではありません。弁護士の役割は「経営判断のために契約リスクを可視化すること」が重要で、OLGA を使うことで迅速に、抜けもれなく、できるようになりました。
あとは、表記ゆれはどうしても見落としやすいので、形式チェック機能は便利に使っています。Wordの置換機能よりも断然便利ですね。
OLGAへの期待やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
条番号ズレを修正する機能が、変更履歴を残した状態で使うと機能しないことがある点がちょっと困っています。いまは契約書の内容修正が完了した段階で、全体の変更履歴記録をいったん停止した状態で条番号ズレを実行しています。細かい点ですが、OLGA のシステム内でなんとかしてもらえると嬉しいですね。
事例を読まれている先生に向けて一言お願いいたします。
AIは我々人間が「使いこなすもの」であって、そのままでは使えるものではない、と考えています。契約書レビューにおいては、リサーチや写経、リスクの可視化といった「作業」を OLGA に肩代わりしてもらい、弁護士として「顧問先のビジネスにあった内容かどうかの検討」に集中できる状態を生み出せます。
顧問先も、弁護士も、ビジネスは「スピード」が重要です。OLGA は顧問先のビジネススピードを上げるのにも役立ちます、いちど試してみてはいかがでしょうか。