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他社事例に学ぶ!リーガルテック導入の「稟議の進め方」と「導入後の現在」(後編)

GVA assistは、テクノロジーで契約業務に関する課題解決を目指すだけでなく、企業の法務パーソンの方々のお役に立てる情報発信を行っています。その一貫として、企業法務に携わる方々向けのセミナーも随時開催しています。

リーガルテックサービスが百花繚乱の様相を呈しています。さまざまなサービスが提供されている中で、自社に導入するとなると多くのハードルがあり、二の足を踏んでいる人もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

本セミナーでは、AI契約書レビュー支援クラウドのGVAassistと、契約ライフサイクル管理サービスのContactSを同時期に導入し、自社の業務効率化を成し遂げた当事者をゲストに招き、導入時の裏側や実際の効果について、赤裸々に語っています。

本まとめは前後編でセミナーをレポートいたします。


原田産業株式会社 田坂昌幸様

田坂 昌幸 様
原田産業株式会社
人事総務チーム マネージャー

2008年同志社大学法学部法律学科卒業。同年大手メーカー系列企業に営業職として入社。OA機器等のセールス業務を経験。その後、法務職への転職を目指し同社を退職。2010年8月に総合商社である原田産業株式会社に人事総務チーム配属として入社。
現職では法務のみならず、採用、貿易、会計、社内システム管理等の様々な業務を経験。現在は法務・コンプライアンス関連業務全般を担当している。GVA Assist・Contracts_CLMなどのリーガルテック社内導入を主導。


津田 奨悟
株式会社Holmes 経営企画グループ

津田 奨悟 氏
ContractS株式会社 経営企画部 部長

新卒で旭硝子株式会社(現AGC)に入社。ガラス製造プロセスエンジニアとして世界初のモバイルデバイス用ガラス上市立上に貢献。その後、デロイトトーマツコンサルティングにて主に化学素材企業向けに新規事業戦略立案、技術マーケティングなど事業成長に貢献するプロジェクトに従事。その後、外資系企業2社で経営企画・事業企画を歴任。直近ではアドビ日本法人において、サービス事業の経営企画として営業、コンサルティング、カスタマーサクセスを横断してマネジメント。2020年8月より現職。


仲沢 勇人
弁護士法人GVA法律事務所 弁護士/リードアソシエイト
GVA TECH株式会社 リーガル部門統括マネージャー

一橋大学法科大学院卒業後、司法試験合格を経てGVA法律事務所に入所。2018年頃よりGVA TECH株式会社に参画。2020年よりGVA TECH株式会社のリーガル部門統括マネジャーに就任。顧客に対するサービス導入コンサルティングとリーガルコンテンツの監修業務などを行う。

リーガルテック導入で想定以上の効果を発揮

第2部は、ContactS CLMを提供する ContractS株式会社の津田奨悟氏、GVA assist を提供するGVA TECH株式会社の仲沢勇人弁護士、そして田坂さんの3人によるパネルディスカッションが行われました。

津田:
ここから私がモデレータとしてパネルディスカッション形式でざっくばらんにいろいろお伺いしたいと思います。まずは田坂さん、先ほどはありがとうございました。示唆に富んだ内容でした。

第1部はどう導入を進めてきたのかという観点でした。第2部では、2つのリーガルテックを使ってみて実際にどうなのか、想定より良かったのか、そうではなかったのか、について田坂さんにお伺いしていきたいと思います。

さっそく私からの質問として、両ツールをほぼ同上導入された結果、現状は効率化できているのか、その他感じている価値についてお伺いしたいのですが、実際にいかがですか?

田坂:
ざっくばらんにいうと、効果は感じています。正直に申し上げると、ContractS についてはまだ全社導入を進めている段階で、現在(2022年6月時点)は一部の部署で活用しています。

やはりメールでやり取りをするとその案件の話をしていたはずなのに違う話が始まったり、最新のメールってどれだったっけ?とか、間が空いてしまうと検索がしにくくなるところがありました。そこをひとつのシステムで管理できるのは非常にありがたいと感じています。

GVA assist は、基本的には法務担当者だけが使う運用をしています。人間の集中力には限界があります。契約書を2回、3回と何度も読み直す作業が軽減されていると思います。あとは細かい点、「および」「または」などの統一なども非常に役立っていますし、契約書のひな形をダウンロードできるのも助かっています。

もちろん当社にはひな形はありますが、新しいビジネスを展開していく中で今まで持っていなかったひな形を作るときに参考になります。相手方のひな形を使うときに当社のひな形はどうなっていたかなと比較するときにも検索がしやすいというところで、効率化が進んでいます。

津田:
ありがとうございます。GVA assist については導入からどう進めていたのか教えてください。仲沢さんから質問はありますか?

仲沢:
前任の方が退職されるのがきっかけとお伺いしましたが、田坂さんが契約書業務をメインで引き継がれたのが導入当初の経緯でした。いまでいうと、法務チームのメンバーは他にどんな方がいるのですか?

田坂:
しばらくひとりでやっていたのですが、4〜5月に新卒で1名ずつ入ってきました。現在は3名体制で法務業務を担当しています。

仲沢:
新卒ということで、契約書を見たことはない方たちになると思います。そこのオンボーディング、学習、そういうところでも使っているイメージですか?

田坂:
はい、当社としてのチェックポイントを GVA assist に登録しておくことで、新しい類型に当たったときとか、その内容を見てもらうだけでも学習になるかと思っています。ただ、最初のうちはあえて使わないでもらおうと思っています。

AI契約書レビューシステムは、どのシステムでも同じだと思いますが、それで完結するものではなく、あくまでも人間の手と目を補助してくれるもの。あまりシステムに慣れすぎてしまうと、実際にいざ登録されていない類型が来たときなどに対応が難しいと思うので、まずは自分の目で見ることに慣れてもらって、そのあと業務を担当する際に、見落としが生じてはならない場面で活用させようと思います。

仲沢:
おっしゃるとおりです。GVA assist のコンセプトは、AIが自動ですべてレビューを完了させてくれるというものではなく、あくまでも法務や契約審査業務の担当者をツールがアシストする、担当者の能力を拡張させていくというプロダクトになっているので、そういった使い方はあっていると思います。田坂さんはどれくらいの利用頻度ですか?

田坂:
よっぽど論点がない契約書以外は基本的には使うようにしています。月におよそ30〜50件のレビュー依頼が来ます。その分の契約書は見ていると思います。

仲沢:
自社のひな形をセットしているものもあれば、費用対効果の関係でセットしていないものもあると思います。カバー範囲でいうとある程度カバーできている感じですか?

田坂:
できていると思います。もちろん、GVAassist 内に登録されていない契約書に関しても、たとえば顧問弁護士にチェックしてもらった作った規約や契約書のひな形もそのまま登録して使えるので、そのあたりはこの先カバーされていないものがあったとしても、今後はカバーできるような運用にしています。

仲沢:
ナレッジを溜めていけるので、今まで外注、外の弁護士の知見から得ていてものも中に取り込んでシステムを介してそこの知見を活用しながらレビューできるようになる、そんなイメージですか?

田坂:
そのとおりです。

時代の変化とともに変わる法務の現場

津田:
いま、ナレッジという話がありました。質問をいただいているので拾ってみます。

「お伺いします。人に付いたナレッジの共有という課題があったときに、ナレッジを公開したり共有したりすることに消極的だったり非協力的な人材に関してはどう対処しますか?」

なかなか良い質問ですよね。リアリティがある質問をいただいています。まず田坂さんとしてはいかがですか?

田坂:
難しいですよね。特に私は一人でやっているので、ナレッジを公開したくない人と一緒にシステムを運用しているわけではないのですが、やっぱりしつこく言うしかないのかなと思います。

今後の展開ですが、「法務相談関係の業務も ContractS を使ってすべての窓口を我々にしてください」という案内を出そうと思っています。

そうなってもいままでのように、メールやチャットで質問する人はいると思いますが、そういう方に対しては「登録してください」と、なかなかしてもらえないなら、質問や問い合せをこちらで受け取って、「ContractS に回答は登録しているので今後はこっちを見てください」と、担当者も手間を惜しまないようにやっていくのが将来的には良いのではないかと思います。

津田:
ナレッジマネジメントという話を GVAさんはよくしていますが、仲沢さんがご存知の事例も含めていかがですか?

仲沢:
人間心理としてそういう方がいるのは事実だろうと思います。とはいえ、特に法務チームの場合に問題になる論点なのかなと思いますが、そういった方はプレイヤーとして優秀なタイプが多いのかなと推測しています。

ただ、あくまで法務チームであって、なおかつ会社内の一部署だとなると、会社にとって一番のメリットになることというのは、法務チーム全体の能力向上だと思います。

よく言われる話ですが、個人としての戦闘能力が高いとそれはそれで評価されるべきですが、みんなが同じようにできる仕組みを作れる人はさらに評価されることになります。その評価制度や評価項目とも連動させるのが解決策としてはいいのかなと考えています。

津田:
ナレッジ共有は人の評価といった仕組みと必ず紐づくところですよね。あるべき姿としてはそうかもしれませんが、実際にはどうすればいいのかという話が法務に限らずいろいろなところから出てきます。評価という観点は田坂さんの中ではいまのところあまり大きな論点ではない状況ですか?

田坂:
論点ではないというよりも、きちんと検討しないといけないと考えています。2人入ってきて、私も一定のマネジメントをする立場になりました。法務業務の評価というのをどのようにしていけばいいのかというのは勉強中です。いろんなコミュニティに参加して情報収集しているところです。

津田:
そのあたりはいろんな方と私もお話させてもらっていますが、リーガルという領域にテクノロジーが入り込んできているからこそ、なにで評価するのかというのが新たに出てきました。

単純にレビュー件数ではないと思いますし、システム導入を推進するというのは以前はなかったことだと思います。結構苦労されている方が多い印象をもっています。

全社が協力してくれる体制を作るには?

津田:
次に ContractS について伺います。これから全社展開していこうというなかで、ContractS はどちらかというとやっぱり全社の、先ほど田坂さんのプレゼンでも「無駄のない」というキーワードが出てきましたが、無駄がないとは言いつつプラットフォームなので導入のハードルが高いという声はよくいただいています。

田坂さんが導入にあたって工夫した点、定着に当たって気をつけた点など教えてください。

田坂:
ここは比較的営業スタッフも協力的にやってくれました。まず窓口を統一することを徹底したのが一番重要だったのと、スモールスタートとしたのが効果的でした。

精緻に運用を検討しても、実際に動かしだしたら「こういう問題が出てきた」というのが必ずあります。全社でいきなり導入したら拾いきれなくなることも想定できたので、部署を限定して何ヶ月か走らせてみて、そこで出てきた問題を、例えばマニュアルをアップデートするとか、運用ルールを少し検討してみる等の修正を行って、これでいけるだろうという実感を得られてから全社に展開するのが良いだろうと思い進めました。

仲沢:
スモールスタートから全社展開というのは、我々も標準的に推奨しています。非常に良い、王道な進め方と言っていいと思います。

一方でご質問があります。スモールスタートをどの部署でやるべきかという選定の視点についてはどうマネジメントされましたか?

田坂:
こちらはちょうど当社としてもより一層という意味なのですが、コンプライアンスを大切にしようという事を進めており、営業を管掌している執行役員がプロジェクトに入っていました。

まずは執行役員が鑑賞する部門からスタートしています。その部署以外でも、この部署であれば比較的新システム導入に抵抗なく入ってくれるとか、割とIT関係に強いスタッフが居る部署をもうひとチーム選定しています。

津田:
幹部のコミットは重要だなと思います。幹部のコミットを得られやすいパターンとそうではない状況と、会社によって違うので、田坂さんのケースは得やすい状況だったのだなと思いました。

追加の質問なのですが、プロジェクトに執行役員の方が参画されていたわけですが、その手前で執行役員、ないしはその部署と良い関係性を築けていたのか、それはなくコンプライアンス事案があったから距離が縮まったのか、そのあたりはいかがですか?

田坂:
私個人の感想なのですが、いいリレーションシップが築けていたと思っています。今はこういうご時世なので毎日顔を合わせて仕事をすることができません。当社ではテレワークの体制を取っているので、出社しても全員がいるわけでもありません。

環境としても良かったのですが、当社は1フロアでやっていて、出社しているときは顔を合わせることができました。積極的にコミュニケーションを取りながら、仕事以外もですね、といった環境でしたので、今回のプロジェクトの面々とは良い関係が築けていたのでお願いもしやすかったところがあります。

津田:
ツール導入だけではなく、バックオフィス系の一番の肝ではないかと思います。そもそもこういうプロジェクトの有無に関わらず事業部門と良いリレーションが築けているか、これを受け身ではなく自ら種をまきに行っているかというのが重要だなと、いろんなお客様のお話を聞いて思います。

田坂:
DX推進だけではなく、法務業務は法律時の知識だけではなくてビジネスの知識もないと行けないと感じています。他チームの営業部門の営業メンバーとのコミュニケーションはいろいろな場面で役に立ちますね。

もうひとつ、ご質問の中にストレスについての話もありました。ストレスをマネジメントしたのかというと、もうやるしかないと。

津田:
実際、その期間は大変だったのかそうでもなかったのか、そのあたりはいかがですか?

田坂:
いま実際にやっている段階なので、大変ですね。ただ、将来的に自分の業務の改善につながるというところを信じてやるしかないと思っています。メールが来てもContractS からタスクが飛んできても全部メールで一旦くるので、順番に私の方としてはフラグを建てるようにしていて、上から順番にやっていく。もちろん緊急性の高いものはそちらを優先しますが、そういった工夫をしながら進めています。

津田:
私の立場から言うと、仮にダブルプロセスが走ったときでも何らかの工夫ができるナレッジをお客様に提供できるようにならないといけないのかなと背筋が伸びる思いです。

田坂:
Outlookだとフォルダ分けと同時にタスクを建てることもできるので、そういう周辺システムの機能も使いながら進めています。

全社運用への転換時のチェックポイント

津田:
ありがとうございます。これからの展開について伺います。

まずはContractSから。まさにこれから全社展開を仕掛けているところだというお話をされていましたが、一部の部署から全社に展開する際の決定要因というか、これができたから全社に行こうというようなチェックポイントはありましたか?という点と、そのタイミングで経営陣の合意を取りながら進めようとしていたのかなど、進め方についてお伺いします。

田坂:
まずチェックポイントについてですが、いちばん重要なのはちゃんと業務が回るかどうかです。先程申しげましたが、何ヶ月かやってみて問題点を洗い出して修正すべき点は修正する、というように進めていきました。

経営陣への確認は、事前にこういうスケジュールで進めます、スモールスタートで進めて必要な点を改善してこのスケジュールで全社展開します、というのはあらかじめグリップしていました。その上で問題がないので進めましょうという形です。

津田:
スケジュール通り進みましたか?

田坂:
スケジュール通りにはなかなか行きませんでした。

仲沢:
GVA assist について、まずは使ってみてというところでいうと、使用前の期待値と現在使ってみてのギャップはありましたか?

田坂:
GVA assist についてはあまりギャップはありませんでした。期待通りです。期待値以上の結果を出せていない点があるとすれば、私の方で自社基準のチェックポイントを登録しきれていないところがあるので、そこをなんとか時間を取って登録していければさらに活用できるという期待があります。

仲沢:
自社ナレッジをどうやってラクに貯めていけるか、という点が GVA assist に期待する点ですかね。ほかに改善に期待しているところなどはありますか?

田坂:
もしかしたら、条文の番号の付け方かもしれませんが、英文契約書のレビューのときに番号表示の部分が日本語だと第何条とやっているところで本文を全部拾ってくれてマーカーされると思うのですが、そこをうまく拾ってくれなかったので、英文の方もさらに精度を上げていただけるとありがたいですね。当社は海外企業との取引が多いので、英文契約書をたくさん使うんです。

仲沢:ありがとうございます、ご期待ください。今後の活用の点では新卒で入った二人がこれから立ち上がってきて、法務チームで稼働するようになっていくフェーズだと思います。そのあたりについて活用方法でイメージしている点はありますか?

田坂:これまでどおり、実務で使う上においては意識して使うことです。たとえば論点になりそうにない取引基本契約書やNDAにおいてもパッと見て大丈夫だろうと進めたら、実は論点が隠されていたということもないとは言えないので、一つ一つ意識を持って使うことでより業務のクオリティを上げられるのではないかと思っています。

「付加価値がありすぎて語りきれない」

津田:
ありがとうございます。ここまで第2部では導入後の話をお伺いしてきましたが、残り時間も少なくなってきたので、導入前や会場からいただいている質問も踏まえていろいろディスカッションしていきたいと思います。

ひとつ質問から拾います。

「もともと導入プレゼンの中で、もともと抱えてきた課題解決や付加価値を期待したというお話がありました。その他の付加価値としてはどのようなことを感じていますか?機密文書のセキュリティの向上などでしょうか?」

質問に付け加えるのですが、当時イメージしていた付加価値にはどういう物があったのかという話と、実際に使ってみてこんなものも付加価値としてあったというものがあればお伺いしたいのですがいかがでしょうか?

田坂:
付加価値としてそこまでセキュリティのことは考えてはいませんでした。ただ、もちろん当時、ContactS の資料を拝見する上で、こういうセキュリティ体制を取っていますという説明があったので、文書を管理する上で問題ないとあとから気がついた部分でもあります。

そもそも私がDXを推進する目的としてワークフローの改善がありましたが、ContactS を入れると電子契約までできますよという点は付加価値だったと感じています。これがフローはこっちで電子契約はこっちとなるとややこしいですからね。ContractS signだけではなく、ドキュサインも使えるのもありがたいポイントでした。

もちろん日本国内で使うにおいては ContractS sign だけで問題ないと思っているのですが、特に欧州のサプライヤーと契約をするときに、聞き慣れたドキュサインがあったほうがこちらも電子契約を進めやすいという点があります。

付加価値について話し出すと長くなるのでこのへんで。

あとプロジェクト管理の機能ですね、ああいう形でほかの営業の人と話をするとExcelで管理をしていたりします。実際、自分も別のプロジェクトをするときにやってみたのですが、気がついたらExcelを触らなくなっているところもあるので、大きなプロジェクトを進めるときには法務業務以外でも業務の改善につながるのではないかと思います。

ContractS が掲げている「契約ライフサイクル」というのも新たな気づきでした。

締結して終わりというのではなく、有効期限が自動更新であってもどこかでやめるタイミングは検討しなくていいのかとか、逆に有効期限がついていない、有効期間がついているけど自動更新は着いていない契約書の管理はどうするのかというあたり、ピンポイントでハマった事案が最近ありまして、改めて感じています。

例えば「海外現地の規制により、契約書の期間は5年間で自動更新も不可」という案件がありました。そのあともう一度巻き直したらOKということだったのですが、いま締結したものを5年後までどうやって覚えているのかという課題に対して、自動通知が来るのでちゃんと設定しておけば、4年半くらい経過したときにきちんと案内してくれるのは非常に役に立ちそうだと感じています。

津田:
すごくリアリティがあって素晴らしいですね。グローバルでビジネスをされている商社だからこそという観点もありますし、契約管理というところを有効活用されていて私自身大変うれしく思います。

GVAさんに期待していた付加価値、当時はこういうことは思っていなかったけどこのあたりが良かったという点はありますか?

田坂:
契約書レビューの点は当初の期待通りです。表記ゆれのチェックは非常にありがたく感じています。直接、契約書の効力に影響が出るわけではありませんが、ひらがなや漢字が混在していると、あまり見た目的によろしくないですよね。それがもともと登録されているのではなく、自分でどんどん表記ゆれの登録、「および」「または」だけではなく自分で文言を設定できるのが非常に助かっています。

津田:
付加価値について話すと長くなるというのは本当にうれしいですね。時間も差し迫ってきたので、最後にひとつお伺いしたいと思います。

我々もGVAさんと事業の提携をして1年が経ちました。一緒に導入しますとか、結果として1社だけにしますとか、残念ながら他社さんにしますといった、いろんなパターンがある中で、両方一気に入れるというのはなかなか珍しいケースです。それは田坂さんにとって大変だったと思うのですが、それだけの意味があったかどうか、いかがですか?

田坂:
それなりの意味があったと思います。法務担当者だけではなく全社の改善につながるというところなので、やるときは一気にやってしまわないと、と考えていました。ただ、両建てで進めるのは大変なところがあるし、日々の業務との関係性もあるので、実際のところどちらも導入することを決めたのですが、まず法務担当者内だけで完結しやすい GVA assist のほうを先に契約しています。

そのあと、ContractS を契約して、運用設計とか既存の契約書の電子化というところで時間がかかってしまったため、稼働しだしたタイミングは遅れてしまいました。それでも全体感を含めて導入をなるべく一緒に進めるようにしてよかったと思っています。

津田:
その分、役員への説明なども少なくできたのかなと思います。たとえば1年あるツールを導入して、追加でこれもとなるよりも、最初から設計図ができていたほうが進めやすいと、いうことかなと理解しました。

仲沢:
田坂さんのお話にすべて詰まっていたかと思います。自社の課題がどこにあるのかを最初にしっかり特定する。そのあと、一度トライアルを経てその課題にこのサービスは合っているのかを確認してから導入するのが、一番ギャップも少ないのではないでしょうか。

入れたけど使わなかったというのが一番良くないパターンですので、そういったステップの部分でプロセスを踏んでいくことを重視して、ツールを選定していくと良いのではないかと思います。

津田:
印象に残ったこととしては、全社系のプロジェクト、特にContractS CLMはどうしても全社プロジェクトになりますので、その前にいろんなリレーションシップを築いていくのは肝になります。

特にリーガルテック、これまではテクノロジーが入ってこなかった部分に一気に入ってきた領域なので、これまで以上にいろいろな社内とのコミュニケーションが必要になる、この流れは避けられないと思います。

テクノロジーをまだ活用されていないお客様がいらっしゃったら、検討前にそういった関係性を他部署と築けていると進めやすくなるのかなと思いました。

田坂さん、ありがとうございました。

田坂:
本日は拙い説明でしたがご拝聴ありがとうございました。法務の業務は世の中から見ても重要度が増してきていると感じています。中途採用の市場でも売り手市場になっています。ただ、その分ビジネスに直結している重要なリスクをマネジメントしていく上で重要な要素、ビジネス全体においても重要度が増しているので、いかに効率的に漏れなくクオリティを上げていくかというのは、どの会社においても課題になっているのではないかと思います。

もちろんContractS、GVA以外にもいろんなリーガルテックのベンダーはいます。自社に合ったサービスはなにかをしっかり見極めた上で目的感を持って、かつ会社全体の競争力を向上させるためにこの分野のDXの推進というのは必ず役に立つということを押さえて進めていただければと思います。

少しでも私の説明が参考になれば幸いです。本日はありがとうございました。

コスト意識の大切さ

津田:
ここからは延長戦として、より砕けた感じで行きたいと思います。個人的に前半のところで気になったこととして、「無駄がない」というキーワードを田坂さんがおっしゃっていました。もともと田坂さんが法務ではない別の営業からキャリアをスタートしたからこそ全体視点を持てていたのか、意外とそういった視点でお話される方は多くないので、そのあたりを噛み砕いてお聞きしたいと思います。

「無駄がない」という感覚はどこで身につけたのですか?

田坂:
発表のところどころに出ていたのでお気づきの方もあるかと思いますが、大阪出身という点があります、無駄なものにお金を払いたくないという(笑)。個人では無駄なものにお金を払いたくないという方はいても、会社のお金だと意識が薄くなってしまう方がいるかと思います。

その辺をカバーできているのは、これまでにいろんな業務を経験できているからというのと、営業が汗水流して稼いでくれたお金を無駄にしたくない、というマインドセットもあるからかなと思います。

かといって、ケチケチしすぎて本当に必要な範囲までカバーできないシステムを入れてしまうと、「やっぱりあとからこれが必要だ」とどんどん経費が逆にかさんでくるケースもありますので、そこは検討にあたって慎重に判断する必要があるのかなと思います。

津田:
ありがとうございました。参加者からいただいた質問にいきます。

「導入が予定通り進まなかったのはなぜですか?」

これはいろんな背景があるかと思いますし、そもそも見立てがということもあると思います。ざっくばらんにいかがでしょうか?

田坂:
これはやはり仕事が忙しかったの一言に尽きますね。いま当社は新しいスタイルのビジネスを展開し始めています。半分宣伝になってしまうのですが、クラフトビールの「ビールの縁側」というサイトを運営しているのですが、当社としては初めてECサイトのプラットフォームをはじめました。

これまでの個人情報保護体制では不十分なところがありましたので、そういったところに時間を持っていかれたと。かといってこっちも先延ばしにするのはビジネス全体に影響が出てしまいかねませんので、なんとか時間を作りつつも、どうしてもできない部分があり、どうしても先送りになってしまいました。

津田:
もともと稟議で「いつまでにこうします」みたいなスケジュールがあって、忙しいという状況で先送りになってしまったことに対して、経営からのプレッシャーはありましたか?

田坂:
そのあたり当社は良い会社だなと思うのですが、そこまでプレッシャーはありませんでした。「どうなっていますか?」という上長からの確認はもちろんあるのですが、日々コミュニケーションが取れているので、私自身の業務の逼迫具合についても理解してもらっていましたこともあり、強く言われたわけではありませんでした。

津田:
日々の信頼関係、当たり前のことではありますが改めて感じますね。少し上のレイヤーから見ると、システム導入のコスト削減が効果のひとつだとすると、コスト削減と新しいビジネスを推進することによる売上アップとか、全体間で売上アップの新しい事業を優先するというのはあり得る判断ですし、そういったコミュニケーションがあったとしたら、もともと信頼関係があってそういう進め方をしていたので、導入プロジェクトの遅延は大きなイシューではなかったという話かもしれませんね。

田坂さんのが先ほどから言われたいる通り、全体のビジネスに資するかという観点は一番重要ですよね。GVAさんもレビューが早くなるからこそ事業が早く進捗するという話もそうですし、そういう観点をどれだけ持てるかという印象を持ちました。

というところでお時間です。本日はありがとうございました。

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