GVA TECH株式会社は、テクノロジーで企業法務部や法律事務所の契約業務に関する課題解決を目指すだけではなく、契約業務に関わる皆様にむけて、お役立ち情報を発信しています。
今回は、GVA assist と「DocuSign」の連携を記念して開催した、「電子契約&AI契約書レビューで始める契約業務のDX」セミナーの模様をお届けいたします。
目次
第一部:DocuSignで始める契約業務のDX
栗原 絵里子氏
ドキュサイン・ジャパン株式会社 事業開発本部 部長
SAPジャパン株式会社でソリューションアーキテクト職を務めたのち グーグル株式会社(当時)へ。AdWordsやYouTubeの広告営業を経て、主にストラテジックパートナーシップに従事。その後2015年より株式会社Box Japanで連携パートナーエコシステム構築に携わる。2019年からはドキュサイン・ジャパン株式会社において販売/連携/リファラルパートナーシップを推進。
DocuSignとは?
DocuSignでは、契約、合意形成を行うために必要なあらゆるプロセスをデジタル化し、ユーザーのビジネスを加速させるプラットフォームです。
- 準備
- 署名/捺印
- 管理
- 実行
と、契約締結に関わる必要なフローをトータルで提供しています。
特に近年では、主に「署名/捺印」の部分において、国内外の多くのクライアントにDocuSignは活用されています。
DocuSignの「強み」
DocuSignが世界で広く使われている理由のひとつが「パートナーエコシステム」と呼ばれる連携機能です。DocuSignの利用者が日頃から活用しているさまざまなサービスと連携できるAPIを備えているため、簡単に契約業務のDX化を進めることができます。
皆様が普段使われているGoogleやSlack、Salesforce、Kintone、Oracleなど、シームレスに連携できるサービスは数多くあります。
電子契約サービス導入のメリット
DocuSignにおいて、ユーザーから多く寄せられるメリットは4つ。
- コスト削減
- 合意からビジネススタートまでの時間短縮
- 契約/合意プロセスの統制と透明化
- BCP対策:改ざんや消失/減失リスクの低減
この中でも2の時間短縮効果が大きいとの声が寄せられています。
また、一般的な合意プロセスでは、
- 協業相談
- 内々での合意
- 契約書内容の確認と修正
- 最終的な合意
- 署名プロセス
- 実際のビジネススタート
といったフローをたどりますが、電子契約サービスを活用することで、署名プロセスの部分が格段にスピードアップします。それまで数週間かかっていたものが、電子契約サービスを導入することで1日、場合によっては数時間で完了したといった事例も寄せられています。
セキュリティ
契約文書を電子化する際に心配なのはセキュリティでしょう。DocuSignでは各種セキュリティの認定や基準を軒並み準拠。また、定期的に監査を受けアップデートしています。
また、ユーザーのビジネスを24時間・365日加速させるため、メンテナンスによる計画停止も行わないのも特徴のひとつです。
全世界に5,000人いる従業員のおよそ1/3を技術者が占め、日々プラットフォームの維持、メンテナンス、開発に従事しています。その結果、サービス開始から今日まで大規模障害も起きたことがありません。
「DocuSign」の活用例:雇用契約
実際に雇用契約で「DocuSign」を使った場合、どのように業務が効率化されるのか見てみましょう。
書面のSNS送信
DocuSignでは雇用契約に必要なあらゆる書面を被雇用者に送信できます。たとえば新卒採用の場合、学生のメールアドレスだけではなく、SNSに発信することもできます。
学生が日ごろ持ち歩いているスマートフォンに通知が出るように送信できるため、見落とすリスクも削減できます。
レスポンシブ対応と多言語対応
契約書をモバイル端末の小さな画面で読むのは大変です。DocuSignでは、モバイル端末の画面に合わせたレスポンシブ対応により、適切な文字の大きさで内容を確認できるよう自動調整されます。
また、国内で働く日本語が母国語ではない方々のために、インターフェイスを多言語対応しています。
一括送信
雇用者側からの一括送信もよく使われる機能です。CSV形式でデータを用意するだけで、同じ文面を相手先に一斉送信でき、さらに大量のステータスチェックもDocuSign上で行えます。
スピーディな雇用プロセスを進めることができ、より優秀な人材を逃さない効果が期待できます。
第一部まとめ
DocuSignなどの電子契約サービスを活用することで、コスト削減はもちろん、ビジネスのスピードアップを図ることができます。
GVA assist など多くのWebサービス、クラウドサービスと連携することで、より便利に、より自社のビジネスを加速させることができると言えそうです。
第二部:契約審査業務のDX
康 潤碩
GVA TECH株式会社 CLO/弁護士
横浜国立大学法科大学院卒業後、司法試験合格を経てGVA法律事務所に入所。2017年末頃よりGVA TECH株式会社のリーガルサイド責任者として参画。2019年よりGVA法律事務所のパートナーに就任するとともに、GVA TECH株式会社のCLO(Chief Legal Officer)に就任。
企業の法務部が、契約審査業務のDXを推進するために必要な考え方と注意点として、康は次の4点を語りました。
- DXと契約審査業務
- 契約審査業務のDXにはナレッジマネジメントが必要不可欠
- GVA assist で実現する契約審査業務のDX
- Word上でのDocuSign × GVA assist の連携デモ
法務部のナレッジマネジメントについて語った「契約審査業務のDXにはナレッジマネジメントが必要不可欠」について、ダイジェストでお届けします。
法務組織とナレッジマネジメント
法務部は、事業部や営業チームとは異なり、チーム単位で業務を行いづらい特性があります。
独立した個人、ないしは2〜3人規模の少人数で業務に当たることが多いため、手掛けた案件で得たナレッジのフィードバックが部内で共有・形式知化しづらい性質を持ち合わせています。
エンジニアなどの職種と比べて、ナレッジマネジメントがされていない部署と言えます。
ナレッジマネジメントのフロー
ナレッジマネジメントを行おうと考えたとき、重要なものとして挙げられるのが、「集約/整理」と「共有」です。しかし、単に集約しただけでは足りません。集約した内容に簡単にアクセスできる仕組みを作らなければ、機能しないでしょう。
ナレッジマネジメントの落とし穴
ありがちなのが、ナレッジマネジメントプロジェクトが立ち上がり、知識を共有して集約して整理してきれいな表がEXCELファイルで作られて終わり、というパターンです。
容易なアクセス方法や、ルール付けして関係者に強制する仕組みがないために、せっかく集約して整理したものが使われない、見られないといった事態に陥ります。
ナレッジはただ集約して整理すれば足りるのではなく、容易にアクセスできる環境と、アクセスして更新することが重要です。
ナレッジマネジメントが失敗するポイント
マニュアルやチェックリストは別ファイルで作成します。するとどうなるかというと、そのファイルが最新のものなのかがわかりません。独立したファイルで存在しているため、せっかくマニュアルを策定しても「面倒くさい」「ややこしい」という意識から開かれず、組織内に徹底されないといったことも起こります。
マニュアルを策定したり、ナレッジを集めたとき、それなりのボリュームになります。そのため、必要な情報にアクセスするのに時間がかかってしまいます。
別ファイルで存在するボリュームがあるマニュアルには、必要な情報に容易にアクセスできません。検索にも時間がかかります。そうなると、面倒くさいということで使われず、アップデートもされません。
結果、現存するのは数年前に作ったマニュアルのままという事態に陥ります。これは、企業のリスクマネジメントの観点からもよろしくないと思っています。
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企業法務の契約審査業務にナレッジマネジメントが必要なの背景
法務が手掛ける業務は個別の案件が多く、他部署と比較しても属人化しやすい環境にあるのはたしかだと思います。ただ、法務パーソンに「法務にとって重要なことはなんですか」と質問すると、「法務として見解のズレがないこと」という解答が多く返ってきます。法務部の見解に、人によってズレやバラツキがあると現場は混乱しますし、法務への信頼性も失われます。
過去の問題が再発した際、業務の効率も下がります。法務部のメンバーが4人いたとします。新たな案件が降ってきました。AさんとBさんはこの案件を手掛けたことがあるが、CさんとDさんは未経験です。CさんとDさんが担当になった場合、ナレッジが共有されていなければ、ゼロから調べ直して時間とコストを掛けることになります。さらに、AさんBさんとは違った見解を導き出す危険性もはらんでいます。情報が共有されていればもっと迅速に対処できたし、バラツキも防げたはずです。
業務を属人化させると、決裁権を持つ上司やエースクラスのメンバーが退職や部署異動などで抜けてしまった際、審査基準も暗黙知もない状態が生まれます。これらは引き継ぎでは対応できませんから、その方が抜けてしまったら法務部のチーム力は激減してしまいます。この状態は企業法務部として致命的なリスクです。
第二部まとめ:契約審査業務の「DXを伴わない」ナレッジマネジメントの限界
契約審査業務のナレッジマネジメントを人力で行おうとした場合、これまでに述べてきたような「限界」があります。
DXを伴わないナレッジマネジメントを行うことで、マニュアルは別ファイルで存在し誰も見ません。ボリュームがあり、誰もアクセスしません。検索も面倒で、アクセスもしにくく、結果的に更新もされません。マニュアル作りは行ったかもしれませんが、ナレッジマネジメントは失敗です。
この状態になると、場合によってはメンバーが古いマニュアルを参照してしまい、大事故につながる危険性すらあります。
- 参照しやすい
- 集約しやすい
- メンテナンスしやすい
契約審査業務のナレッジマネジメントを実践する場合、これら3つの課題をクリアする必要があります。そのためには、法務組織のDXが必要です。