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CLO(チーフリーガルオフィサー)とは?役割や求められるスキルを解説

企業の管理部門や法務部門に所属している方なら「CLO」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

ビジネスの文脈で「CLO」というと複数の意味がありますが、この数年で徐々に知名度が上がってきた「CLO」の一つが、Chief Legal Officer(チーフリーガルオフィサー)という役割です。

ただし、「リーガル」という名の通り、会社の法務に関わる役職、ということまではわかっても、具体的に何をやっているか、どんなスキルや経験が必要なのか、についてわからないという方もたくさんいらっしゃると思います。

そこで、本記事ではこのCLOという役職について、言葉の説明から企業内での役割、求められるスキルなどについて解説します。

「CLO」は「CxO」の種類の一つ

その前に「CxO」という言葉はご存知でしょうか?

この言葉だけだとちょっとピンとこないかもしれませんが、CEO(最高経営責任者)やCTO(最高技術責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、CFO(最高財務責任者)などのことといえば、大抵の方は理解できるかと思います。

C=Chief(責任者)、O=Officer(執行役)で、xは業務や機能を表します。企業にとって必要な機能ごとに最も大きな責任や権限を持つのがCxOで、最初に欧米で誕生、発展した後、日本でもスタートアップやメガベンチャー企業を中心に採用が増えています。代表的なものでも10種程度、珍しいものや呼称の重複まで含めれれば30種ほどあると言われています。

そのCxOの一つとしてCLOという役割があります。調べてみると、Chief Learning OfficerもしくはChief Legal Officerが該当するようです。ちなみに、Chief Learning Officer(最高学習責任者、最高人材開発責任者)は人材育成や教育に責任を持つ役割で、最近のテレワーク・リモートワーク浸透に伴う新しいスキルに備え、近年導入する企業が増えているようです。

CLO(チーフリーガルオフィサー)とは?

本記事でのCLOはChief Legal Officer(チーフリーガルオフィサー)のことを指します。日本語では「最高法務責任者」「法務担当役員」に相当し、外資系の企業ではジェネラルカウンセル(GC)と呼ばれる場合もありますが、どれもほぼ同じ意味ととらえて良いと思います。

CLOは企業における法律部門のトップであり、他のCxOと同じように欧米で発展してきました。欧米ではビジネスにおける法務の重要性の認識が日本とは異なります。法令遵守はもちろんですが、経営陣の責任問題が即訴訟になりやすく、しかも損害賠償額が大きいこともあり、企業経営における法務という機能の位置づけや優先度がとても高い、という背景があります。

また、英語圏の企業であれば、同じ言語圏の他国に進出する機会も増えるため、進出先での外資規制や雇用関連の法律への対応など、法律に特化した機能のニーズが必然的に増すという事情もありました。

CLOの業務内容と責任範囲

CLOは法務部門のトップではありますが、従来イメージされてきた法務担当者との違いは「より経営に近い立場」であることです。

「会社を守る」という視点で法的リスクを予防したり、トラブル時に対応したり、契約書などの業務を効率的にこなすといった機能面を管掌するのはもちろんですが、CLOはより経営に近い立場として、法律専門家の視点から経営戦略や企業価値向上に貢献することが求められます。売上や利益だけでなく企業の社会的責任も同時に果たすことも必要です。

リスクをチェックしたり懸念を指摘するだけでなく「法律知識やスキルを経営戦略に反映し、企業価値の向上に貢献」したり「経営問題と密接に関わる法務問題について、経営戦略として良い打ち手を実現するために法務問題を検討・構築・処理し最適解を導く」といった、近年注目されている「戦略法務」を担う役割としても注目されています。

「戦略法務」については以下の記事でも詳しく紹介していますのでご参考ください。

関連記事:戦略法務とは?予防法務や臨床法務との違いから具体例、必要なスキルを解説

CLOと顧問弁護士の違い

CLOさえいれば顧問弁護士は不要なのでは?と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、そもそもCLOと顧問弁護士では求められることが大きく異なります。

もちろん、CLOがいれば顧問弁護士が不要、という関係ではありません。顧問弁護士はあくまでも社外の弁護士であり、契約内容にもよりますが、アドバイスまでの立場であることが一般的です。

CLOは会社の役員、経営陣の1人です。複数の専門家からリーガルオピニオンを集めて検証することはもちろん、一般論的な法的リスクの指摘にとどまらず、会社の状況や方針も含めて総合的に法的リスクを評価し、自社の経営リスクとして管理し意思決定をする役割です。

意思決定後は、決定に基づいた法務のオペレーション、リソース配分にまで責任を持ち、問題があれば解決策を示し、完了するまでの責任を負います。その最中では、例えば契約違反によるリスクを指摘するだけでなく、契約を遵守する場合、違反した場合の双方のリスクを検討し、企業の経営方針に照らしてもっとも最適と考えられる意思決定が求められます。

ですので、CLOと顧問弁護士はどちらかだけがいればいい、というわけではないですし、比較する対象ではないといえます。


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CLOになるために必要なスキルや経験

CLOになるために必要な資格はありません。ただし、その役割を考慮すれば、高度な法律知識は欠かせず、弁護士など法律系資格を保有している人が多くなります。CLOの発祥国であり、先行する米国ではCLOのほとんどが弁護士資格を持っています。

日本でも、インハウス・ロイヤー(企業内弁護士)は増えており、国内企業のCLOでもインハウス・ロイヤーからスタートした方も多くいらっしゃいます。「資格が必要」というより、法律系資格を持つ人のキャリアの一つとして、インハウス・ロイヤーやCLOというポジションがあるという感覚に近いでしょう。

このように、CLOにとって法律の知識は必要ですが、重要なのは法律分野以外の知識になります。

単純な法律の専門家だけでなく、自社のビジネスはもちろん、業界の動向にも精通し、会社法だけでなくコーポレートファイナンスなどの領域までの幅広い知識、経験が求められます。もちろんCLOでなくてもこれらの知識、経験は必要ですが、経営リスクを管理するという役割からは、これらをより高いレベルで使いこなすことがCLOには求められます。

弁護士の場合、特定分野の法律に強みを持つことは重要ですが、CLOという立場では、自分の専門性と関係なく、会社にとって必要であればどんなことでも解決に当たるというスタンスが必要になります。CLO以外の役員や事業部門との信頼性を構築するコミュニケーション力、レポートラインとなるCEOとの関係、ゴールの共有も重要です。

おわりに

近年、スタートアップ企業を中心にCxO制度を取り入れる会社が増えてきました。CLOはまだ認知度は高くありませんが、新型コロナウイルス感染拡大など、先行きの見通しづらい状況で今後重要になる役割の一つになると考えられます。

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