パーソルイノベーション株式会社 法務・知財室 古橋 翼様、秋田谷 貴様 に、OLGA の導入背景や目的をお伺いしました。
貴所の業務内容をお教えください。
当社はパーソルグループの新規事業立ち上げ部門として設立された会社で、中途採用サービス「ミイダス」、企業と人材のマッチングアプリ「シェアフル」、クラウド型POSレジ「POS+」、副業人材マッチングサービス「lotsful」など、人材にまつわるさまざまなサービスを展開しています。
現在の法務部門の体制や、ご対応されている業務をお教えください。併せて、ふだん取り扱っている契約の類型や月間取扱い通数などもお教えください。
古橋様:
法務・知財室は現在8名体制で、契約審査やブランディング統制を担当しています。取締役会など機関法務は別部門が担当しています。
契約審査は、事業部ごとに法務担当者がつく体制を取っており、法務担当者がそれぞれ裁量を持って業務に携わっています。業務量は時期や事業部によってもちろん変動しますが、法務ひとりあたり平均すると2~30件/月の案件に対応しています。類型は業務委託が多いですが、事業固有の契約に関する審査依頼も頻繁に入ります。
秋田谷様:
当社が提供している事業はそれぞれ性質が異なるため、契約書のひな型は事業部毎に作成しており、全体で6~7類型は準備しております。そのほか、BtoC間の契約は利用規約を活用していたりするため、法務が管理するひな型はわりと多いほうかもしれません。
法務としての課題感や、OLGA を導入するに至ったきっかけをお教えください。
古橋様:
AI契約レビューの導入を検討開始した時点の当社の課題感は、法務部門としての論点と、法務部と事業部との関係の2軸、存在していました。
法務部門としての論点は、次のようなことを考えていました。
- 法務担当者によって契約審査基準にばらつきがある状況だったため、基準の共通化を進めたい
- 「新規事業の立ち上げ」が事業の主目的なため、法務として新規事業立ち上げをサポートするためにスピード感のある法務体制を作り上げて、事業部門をさらに後押しできるようにしたい
法務部と事業部との関係においては、以下が当時の論点です。
- 事業部によっては契約締結件数が多いところがあり、その対応スピードを高めたい
- たまに入る「明日からこの案件を始めたい、法務レビュー急ぎでお願い」という相談にもレスポンス早く対応したい
上記を勘案し、どうすれば事業部門も法務部門もWin-Winになるか考えていたところに、AI契約レビューツールの存在を思い出しました。
当社の事業部メンバーは契約リテラシーが高い方が多く、AI契約レビューツールを導入することで、事業部側が定型的な契約書について一定の判断が行えるようになり、事業のスピード感を高められることを、一方で法務としては、難易度の高い契約審査に集中できる環境が作れることを期待しました。
いくつかの契約審査サービスについてそれぞれの特長を伺ったり操作画面を見てみたのですが、当社にとって必要な情報を提示してもらうには、サービスで用意しているリスクや指摘事項ではなく「自社の契約審査基準」をセットし活用する必要があると理解しました。
その自社基準機能を軸に各ツールを比較検討した結果、自社基準を「プレイブック」として活用できる機能を初期から開発・提供している OLGAがツールとして一番拡張性があり、また使い勝手もよいことから、当社で導入させていただいた次第です。
OLGA を使って、契約書レビュー業務のどのような課題が解決されたか、可能な範囲でお教えください。
秋田谷様:
例えば私が担当している事業部は、事業の性質上、多い時には一日に10件を超える契約締結が生じることもあります。
10件にはひな型通りの契約書も含んでおり、全てを詳細に確認するわけではないものの、以前であれば目通しする必要があった契約書についても、OLGAを導入しプレイブックをセットした現在、事業部サイドで一定の契約審査レビューが完結できるようになりました。これにより法務へのレビュー依頼自体が大きく削減、事業部側で判断がつかないものだけが相談されてくる状況になりました。
古橋様:
もともと当社には、過去に締結した契約について情報の集積があったことから、OLGAにセットしているプレイブックはそれらに基づいて柔軟な修正条文案にしており、事業部がプレイブック上で「こういう修正要望がきたらここまでは修正を許容する」といったものを見られるようにしました。
とはいえ、事業部サイドで判断がつかない契約ももちろんあることから、法務部として「基本は現場で判断してね」と放任はしておらず、「事業のスピードを落とさないように審査を頑張って、でも迷ったらすぐ気軽に法務に相談してね」とアナウンスし、事業部の方々が安心して契約業務に臨める環境は意識しています。
OLGAご導入前後での、契約書レビュー業務やワークフロー、法務業務の変化についてお教えください。
秋田谷様:
以前は、法務にくる契約審査の相談は「論点がふわっとした状態」のものが多かった印象です。OLGAを導入し、事業部側がプレイブックを起点に契約内容について考えられる状態になったことで、相手方からの指摘が事業部側ですでに交通整理された状態=論点が明確になった状態で、法務部にくるようになりました。結果として、法務としても「漠然としていた修正指摘」が減り、本来不要な契約交渉が減りました。
古橋様:
プレイブックを作成するのはそれなりに労力がかかりましたが、その分しっかり作り込んだものにしたことから、法務としても安心して現場に契約書の一次レビューを預けられる状況になっています。
他には、法務がレビューする際に、イレギュラーな契約書や先方ひな型にあまり見たことがない条項がはいっている場合などは、OLGAにプリセットされているひな型の条文を参照でき、あれこれ調べる手間が省けて助かっています。
OLGAで、他人に教えたい機能や使い方がありましたらお教えください。
古橋様:
条文検索は頻繁に使っています。数は他社ツールの方が多いようですが、OLGAも充分なひな型がプリセットされているので、よく参考にしています。
秋田谷様:
レビュー機能以外ですと、形式チェック機能ですね。条番号のズレや表記のゆれ等の形式面は、人間がチェックするとどうしても見落としがちになってしまうので、抑止の観点からもよく使っています。
OLGAに対する期待値やご要望、改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
古橋様:
作成・セットしたプレイブックの管理運用にかかる工数が削減できるとありがたいですね。日々の利用を通じて契約ナレッジがOLGAに蓄積される状態になっているため、現在は半年に1回の頻度でプレイブックのアップデートを行っています。ですが本当は四半期毎に行いたいと考えており、そのためには今よりも容易にアップデート作業が行えるような機能追加があると嬉しいです。
また、OLGAは「当社特有の条項やコメントをプレイブックに入れられる=法務サイドが自由にカスタマイズできる」点が特長だと認識していますので、例えばオプション条文のオプション機能といったような、条項に応じた個別レコメンド機能などがあると、より活用度合いが高まるかなと思います。
秋田谷様:
事業部からプレイブックだけでなくひな型自体のアップデートもオーダーが入りますので、たしかに管理機能がいまよりもっと充実すると、さらに使いやすくなる印象です。
古橋様:
あとは、OLGAをどう活用するのが良いかという導入コンサルティングサービスとは別に、弁護士法との関係上難しいかもしれませんが、「企業法務部としてプレイブックをどのように運用していくか」という観点の法務的コンサルティングサービスがあると、利用者側として安心かもしれませんね。これはもしかすると法律事務所のビジネスチャンスなのかもしれませんが笑。
OLGAを一言で表すとしたらどういう表現になりますか?
古橋様:
OLGAは「法務だけでなく事業部も一緒になって良くしていくもの」ですね。
秋田谷様:
グローブや万年筆のように、OLGAは手入れして使いやすくしていく「手に馴染む道具」だと思っています。
事例を読まれている方に向けて一言お願いいたします。
古橋様:
一般的なリーガルテックツールは法務が使う前提のものが多いですが、事業部と法務とが共創し、事業部門の法務リテラシーを高めることにも OLGAは貢献してくれています。法務が事業部の契約課題に踏み込んで解決していきたい、と考えている企業にはおすすめです。
秋田谷様:
OLGA は、ツールに既存業務を寄せるのではなくツールを会社の業務フローに合わせる、言い換えると「自社に合わせて自由に導入できるリーガルテックツール」です。何に使うか、どう使うか、を、会社ごとに自由にできるのが OLGAの強みだと捉えています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。