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AI契約書レビューとは?用語の解説、機能、できること、できないことをご紹介

近年、さまざまな業界や会社内の機能においてテクノロジーによる効率化やデジタル化が急速に進んでいます。これらの一部は「○○テック」「○○ Tech」と呼ばれベンチャー企業を中心にSaaS形式で提供されており、この数年はこれらベンチャー企業のIPOも珍しくなくなってきました。みなさんも「HR Tech」「Ed Tech」「FinTech」といった用語は耳にしたことがあるかと思います。

法律分野におけるこのようなトレンドは「リーガルテック(Legal Tech)」と呼ばれます。米国では2003年にDocuSign社が設立されて以降、多数の企業がこの領域に参入しました。今では世界各国でこの領域のサービスを提供する企業が増えています。この流れは日本でも同様で、弁護士ドットコム株式会社の電子契約「クラウドサイン」など、リーガルテックの各カテゴリの製品が増えています。

リーガルテックにおける製品カテゴリの1つに「AI契約書レビュー支援」があります。

従来、契約書のレビューは弁護士や企業の法務部門の人が読んでチェックし、リスク箇所を判断、修正するというプロセスを経ていました。このプロセスについて、AIを活用したSaaS形式のサービスで効率化したり、既存の問題点を解消しようとするのがAIによる契約書レビュー支援です。

近年、大企業を中心にデジタル化の流れとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を見聞きするようになりました。リーガルテックやAI契約書レビューもDXの1つのケースといえ、今後ますます採用が進むと見られています。

本記事では「AI契約書レビュー支援」のサービスについて、用語の解説から従来の手法との違い、できること(メリット)やできないことを整理して紹介します。

AIによる契約書レビュー支援とは

「AI契約書レビュー」という単語を直接解釈するとしたら「AIを活用することによって効率化された契約書レビュー業務」といえるでしょう。契約書審査業務にAIを活用する方法はいくつかありますが、最も多いのが契約書レビュー支援に特化したSaaS形式の製品を活用する方法です。そのため、このような製品カテゴリ自体を「AI契約書レビュー支援」と呼ばれることもあります。

ただ「AI」というキーワードの影響もあり、大半の方は「AIが契約書の内容を理解してリスクがないかを判定してくれる」ものというイメージをお持ちかもしれません。半分は正しいですが、それだけでは説明しきれないともいえます。大きく2つの点でAIがどのようにワークするのか整理してみましょう。

どんな点でAIが活用されるのか

AI契約書レビュー支援の製品では、大きく分けて2つの点でAIが活用されます。

条文ごとのリスク判定

「AI契約書レビュー」と聞いてイメージされやすいのはこちらの使われ方です。レビュー対象の契約書データをアップロードすると、条文ごとに有利不利や修正例の提示、不足している条文を指摘してくれる機能が一般的です。

一見するとアウトプットがわかりやすいのが特徴ですが、締結の背景や当事者の立場、その会社ならではの基準(どこまでのリスクなら許容できるかなど)を反映できません。これは有利不利などリスク判定の基準が、サービス側で用意したデータ、知見を前提とするためです。

ユースケースとしては、法務ノウハウや法務担当者がいない企業でとにかく最低限のチェックはしておきたい、とにかく時間をかけずににチェックしたい、というニーズに向いています。もちろん、契約書を全くチェックせずに丸呑みするよりはかなりリスクは防止できますので、利用者の状況によっては十分活用できるでしょう。

条文単位のマッチングや比較

こちらは条文のリスク判定はせず、ある条文に対して類似する条文や参考にすべき条文、さらにはそうした条文単位で紐づく知見・法務ナレッジを提示するものです。あらかじめ、過去の契約書や参考にすべき条文集やチェックポイントを保存しておくことでレビュー時に注意すべきポイントをサジェストするという使い方になります。

「リスクを判定してくれないのに本当に使えるのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、この機能では一定の法務ノウハウや過去の契約書データ、自社ならではの判定基準などを持つ組織において、レビューに必要な視点や修正のアドバイスを効率的に行うことができます。

今まで、契約書のレビュー時に参考すべき条文は、参考文献や過去の契約書データ、製本済みの紙の契約書、上司や社内の知っていそうな人に聞く、という方法で検索されてきました。この検索行為を圧倒的に効率化できることがメリットです。そのため、法務部や法律事務所で使用頻度の高いWordアドイン形式で動作するサービスもあります。

また、自社ならではの判定基準・契約書審査方針がある企業(たとえば、この条項は必ず入れる必要があるか否か、知財の条項はこのレベル以下は受け入れ不可等)、または今後作っていく予定の企業では、こうしたサービスの力を借りて、統一的なレビューフローを構築することも可能です。

取引金額や会社の規模が大きくなるほど契約書のレビューの品質はクリティカルに影響します。こういった企業において最大限好ましい契約締結を目指す実務に向いています。もちろん、上記以外にもAIが影響する機能はありますが、まずは自社の契約書レビュー業務が上記2つのどちらに該当しそうか、という観点で検討すると良いでしょう。

AI契約書レビュー支援サービスの主な機能

では、AI契約書レビュー支援サービスにはどんな機能があるのでしょうか。大きく5つに分けて紹介します。

契約書ひな型との比較

レビュー対象の契約書データと、あらかじめ保存しておいた契約書ひな型を比較します。これにより契約書全体を俯瞰して不足または不要な条文がないか、細かい精査が必要な条文はないかの精査を行います。

リスク判定

製品内で設定された判定基準に従い、条文ごとのリスク度合いやリスク可能性の有無を判定、提示します。
製品によっては、リスクだけでなく修正例の提示まで行ってくれるものもあります。

削除や要検討項目の指摘

リスク度が高く絶対に削除したい条文などをあらかじめ設定しておくことで、それを含む契約書に対してアラートを出すことができます。含まれるキーワードだけで検索するのもあれば、記載内容が近い条文であれば検知できるものもあります。
削除対象だけでなく、修正や深い検討が必要な条文に対してもアラートが可能です。

条文検索機能

保存しておいたひな型から条文を分割して保存し、検索できる機能です。「ここの条文、過去の契約ではどう書いていたっけ?」というときに瞬時に条文を検索し、参考にしたり反映することができます。

自社の契約にとって理想的な条文や、前提・利用シーン・取引先企業ごとの条文を複数設定しておくことで、過去の契約書から条文を探す手間を省くことができます。Wordアドイン形式で動作することで、より便利に使える機能です。

条項番号のずれなど形式面のチェック

条項番号のズレや不足、締結日の記載忘れなど、契約書の形式面の不備チェックをする機能です。

すべてのAI契約書レビュー支援の製品が上記5つの機能を持っているわけではありませんが、これら5つの機能のどれかをコア機能としていることが多いようです。

AI契約書レビュー製品でできること、できないこと

このように一見万能に見えるAI契約書レビュー製品ですが、できることとできないことが明確に分かれます。その強み(メリット)と弱みを3つずつに整理しました。自社の業務効率化に貢献できるか見極めの参考にしてください。

AI契約書レビュー製品でできること(メリット)

専門的な知識がなかったり、経験の浅いメンバーでも一定のクオリティでレビューできる

法務部員の中でもその知識やスキルには差があります。受領した契約書まず事業部門でレztビューする企業では担当者との差も考慮する必要があります。

従来の契約書レビュー業務は属人性が高く、経験や背景の理解が重要なため複数人でのチェックが一般的でした。
AI契約書レビューでは、製品に設定された基準やあらかじめ設定した条文やアドバイスなどのデータにより、誰がレビューをしても一定レベルのアウトプットがしやすくなっています。

調査や確認にかける時間を短縮できる

参考文献や過去に締結した類似の契約書をチェックするなど調査を効率化できます。特にWordのアドイン形式で動作する製品では、ウィンドウ内に参考にすべき法務ナレッジ・データをすべて表示できますので圧倒的な時間削減が可能です。

クオリティや基準を統一できる

AI契約書レビュー製品内のリスク判定基準や、自社のレビュー基準の設定は一度設定したら同じ基準で動作します。人がレビューする場合は、誰がやるか、どのタイミングでやるか、などによってもアウトプットにぶれが出る可能性があります。これを最小限に抑えられます。

また、基準の統一の先には自社のレビュー基準の体系化やルールブック化(プレイブックとも呼ばれます)を通じて、受領した契約書をただレビューするだけでない戦略的な法務体制の構築も可能です。

AI契約書レビュー製品ではできないこと

ビジネス上の判断や契約背景の理解はできない

契約書にはその文面だけではわからない事情が存在します。

  • 業界の慣習やビジネスモデルの理解
  • 資本関係があるのか、会社間の力関係の理解
  • 新規の取引か、十分信頼関係のある企業なのか

これらによって締結される内容は当然影響されます。ただしこれら事情をふまえることは現在のAI契約書レビュー製品ではまだ難しいでしょう。

自社ならではの基準に応じた判断

ある条件に対して許容できる/できないの判断は企業ごとに異なる場合があります。
各社ごとの基準を踏まえたレビューは今のところは難しいでしょう。

上記はAI契約書レビューに限らずAI自体の特性ともいえます。

ただし、AI契約書レビュー製品の中には、注意すべき条文、自社の契約書審査ルール、修正案、担当者へのアドバイスや先方向けコメントをあらかじめ自社専用のクラウド環境にセットアップすることで、レビュー対象となる生きた条文に紐づけて、最適な自社の法務ナレッジの検索・閲覧をソフトウェアがアシストする形でスムーズに法務パーソンに提供し、最後の判断は人がする前提のもと、会社視点での法務リスクのコントロールをどこまで効率化できるか、という思想の製品も増えてきています。

必ず最後は人間の目でチェックが必要になる

AIといえども万能ではなく、文章や文言修正を自動で間違いなく行う仕組みはまだ難しいため、最後は人間のチェックが必要になります。

以上、お読みいただいて分かる通り、契約書レビューをAIで支援するというのは「人の業務をまるごとAIで代替する」レベルにはまだ達していません。そして会社ごとの事情や思惑がある限り、高いレベルでの実現はまだまだ難しいでしょう。まずは製品でできること/できないことを理解して、自社のレビュー業務をどう構築し、理想を描くかが活用のポイントになります。

おわりに

この数年で増えてきたリーガルテックの各製品もSaaS市場全体でみればまだまだ黎明期です。その1カテゴリであるAI契約書レビュー製品ならなおさらです。「AI契約書レビュー」という名称からは、どうしても万能さを感じてしまい、漠然としながらも期待値が高くなっている面もあります。

しかし、大企業を中心としたDXの推進、働き方改革の流れ、世界的なリーガルテックの潮流といったトレンドをふまえると、自社にとってどんな影響があるか、業務に貢献できる可能性があるかの見極め、無理なく業務フローへ落とし込む工夫が求められていると言えるでしょう。

まずは本記事でAI契約書レビュー支援の現在地を理解いただき、自社の経営課題に対してリーガル面からどんなアプローチができるか、検討のきっかけになれば幸いです。その上で、弊社のAI契約書レビュー支援サービス「AI-CON Pro」も、ぜひご検討くださいませ。

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