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法務のリモートワーク対応とDX推進事例(前編)

 皆さまご存知の通り、2020年4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されました。宣言の前後から、大手企業でもリモートワークのためのさまざまなアクションが急ピッチで進められ、在宅で業務を行える職種の方はリモートワーク化が進んでいるのではないでしょうか。

 企業ごとの業務内容や職場環境によって、リモートでできることやできないこと、使いたいツールや使えないツールなど、さまざまな状況がきっとおありではないかと思います。そのようななかで、現場のリモートワーク推進担当者として「いったいヨソはどうやっているんだろう」と、他社の動向が気になっていらっしゃる方は一定数いるかと思われます。

 そんな現場最前線の方々に、リモートワーク対応をきっかけとした「DX(デジタルトランスフォーメーション)」推進を検討する際の一助になればと考え、弊社と縁がとても深い法務のプロ集団、GVA法律事務所のパートナー弁護士、小名木 俊太郎さんに、リモートワークの対応やDX推進のポイントについて、いろいろ話を伺いました。

GVA法律事務所 パートナー弁護士 小名木俊太郎さん

GVA法律事務所について

まずは貴所についてお教え下さい。

 GVA法律事務所は、スタートアップ支援に強い法律事務所です。現在は海外在住の者も含めて25名の弁護士、2名の中国律師(Not admitted in Japan)、1名のマレーシア弁護士有資格者(Not admitted in Japan)、2名の司法書士が在籍し、「世界中の挑戦者を支えるインフラになる」を理念に掲げ、日々、ITベンチャー企業を中心として最先端のビジネスモデルの構築・運用の支援や東南アジアにおけるビジネス展開の支援を行っています。

貴所のデジタルツールやサービスの導入は進んでると耳にしました。

 クライアントの多くがITベンチャー企業であることから、自然と多種多様なコミュニケーションツール、新サービスに接する機会があり、それらを自分たちの業務に取り入れて、業務をデジタル化することは、自然の成り行きではありました。

 あとは代表の山本が様々な情報を異常に速くキャッチアップすることも、事務所のデジタル化が進む一因でもあります(笑)。

弁護士特有の背景

DXを進めるにあたって、弁護士特有の障壁があると伺いましたがそれはどのようなものですか?

 弁護士の業務において、とくに裁判所対応のために紙を取り扱うことはまだまだ多く、業務すべてをペーパーレスにすることは至難の業です。弊所は企業法務に特化しているのでそこまででもないですが、紛争案件を取り扱っている弁護士さんですと、紙は切り離せないと思います。

 ただそれも、2022年に裁判所の民事裁判手続きのIT化が控えており、その主軸サービスはMicrosoft社のTeamsになることが決まっているので、法律事務所のIT化はteamsを軸に検討されている傾向が今後高まるかと考えています。

現状のリモートワークのご状況

貴所全体のリモートワークについて現状をお教えいただけますか?

 2020年4月時点で、弁護士は全員リモートで業務に対応できています。事務局や総務などの弁護士事務所を支えてくれている部門も、原則はリモートワークにシフトしました。

 ですが、それでもやはり裁判所対応や書類作成などのために、実際にオフィスに出向いて作業しないといけない業務がいくつか残ってしまっております。緊急事態宣言下において不要不急な外出はさけるべきではありますが、一部の最低限業務については、各スタッフの状況なども考慮しつつ、個別に調整したうえで出社して業務対応をしてもらっています。

どのようなサービスを使っている?

リモートワークのため、ではなく普段からいわゆるDXは勧めていらっしゃるわけですね。実際にどのようなツール・サービスをお使いか、具体的にお教えいただけますか?

 弁護士は受託ビジネスですので、原則としてはクライアントのツールに合わせます。その中で、自分たちとしても使い勝手がよいものは、事務所として取り入れる流れになっています。

GVA法律事務所で使用しているツール一覧(抜粋)
GVA法律事務所で導入しているツール(抜粋)

コミュニケーション

 事務所内のやりとりはslackを利用しています。弊所は海外にも拠点があり、そこを通じてグローバル対応も多いため、クライアントのslackに参加している数を含めると、私は10個程度のワークスペース(※)に参加しています。他の弁護士もおそらく4~6個程度のワークスペースには参加していると思います。※ワークスペース=Slackは1ワークスペースにつき1組織が基本的な使い方で、ユーザー毎にどのワークスペースに参加する/しないかを判断できます。

 Slackは、ワークスペース毎に参加する/しないを決められるだけでなく、チャンネル(Facebookでいうグループのようなもの)毎に閲覧する/しないをオーナーが決められます。クライアントも、必要最低限のチャンネルにだけ私たちを招待することによって、不要な情報を対外的に見せなくて済みますし、私たちとしても必要な情報のみにアクセスすることができる点がよいですね。

 あとはもちろんメールも使っており、Gmail(G Suite)を利用しています。他、コミュニケーションツールとしては、クライアントの要望としてFacebookメッセンジャーを使うことも多いです。

Web会議

使っているWeb会議はおそらく他の事務所さんや企業とそう変わらなくて、

  • Google Meet
  • Zoom
  • Skype
  • Facebookメッセンジャーのビデオ通話

などです。

 Zoomはセキュリティが一時期騒がれていましたね。そうしたツールを積極的に使いたいわけではないですが、基本的にはクライアントのニーズに合わせる形で使用しています。

私たち弁護士は通常よりも高い感度で顧客情報保護に意識を向ける必要があるため、各種サービスのセキュリティに関する情報は注視しています。

業務管理サービス

これらはたくさんあるので淡々とご説明します。

1.顧客管理、案件管理

顧客管理系の業務をkintoneにちょうど切り替えたところで、管理している内容は主に以下のとおりです。

  • クライアント情報
  • クライアントに紐づく案件管理
  • タスク管理、スケジュール管理

以前はG SuiteのGoogleスプレッドシートでやっていましたが、時間が経つにつれ運用に限界がきたため、カスタマイズ性が高いkintoneに切り替えた次第です。

2.稼働管理

弁護士の報酬はタイムチャージ(作業時間・拘束時間に応じた報酬)が多いので、当然ですが正確性が重要です。弊所ではTimeCrowdでタスクと業務時間を紐付けて管理しています。

3.請求管理

請求についてはkintoneMFクラウド請求を連携することで効率化を図りつつ、請求書の消込みにはV-ONEクラウドも入れています。

4.業務効率化

ダラダラと働いてしまってクライアントに過剰なタイムチャージを請求するわけには行かないので、業務効率化に役立つツールは色々入れています。もちろん、GVA TECHのAI-CON Proも導入して契約業務の軸に据えています(後述)が、他に活用していて効率がよいツールとしては、

  • ロゼッタ社の自動翻訳サービス
  • ウエストロー・ジャパン社の凡例検索サービス WestLaw Japan
  • 民事法務協会の登記情報提供サービス

などは、法務局や特許庁の電子申請ソフトなどと並行して、よく使うサービスです。

■AI-CON Proの利用状況

AI-CON Proもリモートワーク下で活用いただいているとお聞きしましたが、具体的に話をお聞かせいただけますか?

 クライアント様からのご相談内容としては、契約書の作成/レビューや新規ビジネスの適法性リサーチ、利用規約の作成などのビジネス周りが中心ですが、ファイナンスや商業登記、コーポレート周りのご相談も多いです。また、労務や紛争などのご相談もあります。
 AI-CON Proは「AI契約書レビュー支援サービス」ですので、日々の業務で触れています。

もともと、契約書のレビュー依頼がきた際のAI-CON Proの使い方はどのようなものでしたか?

 弊所では、クオリティの担保のために、少なくとも二人1組のチームでクライアントからの依頼に応対しています。

 そのため、契約書レビューについても「1st・2nd」と二段構えで行っています。若手弁護士が1stレビューを行い、その結果をみながらベテランが2ndレビューを行い、クライアントへのフィードバックの品質を担保しながら、若手のレビューをチェックし必要に応じてアドバイスしたりして経験を積んでもらいます。

 AI-CON Proを導入した後は、類似条文を並べて比較したり、検索で過去の契約書をすぐにチェックできたりすることから、1stのレビュー品質が上がり、レビューに要する時間も短縮されるようになりました。

 若手の1stレビューのあとにベテランが2ndレビューを行うのですが、AI-CON Proにセットしているレビュー基準をベテランは当然知っているので、レビュー対象の契約書の性質上”本当にクリティカルな”点や、自身の知見から「ここは見落としたらまずい」という点にだけベテランは集中してレビューすれば良くなったので、全体の効率はぐっと良くなりました。どれくらい良くなったかを定量的に数値化できているわけではありませんが、感覚としては20~30%の時間削減にはなっていると思います。

 ここで減らせた業務時間を、リーガルリサーチやクライアントが考えている新規ビジネスの業界構造の理解などに充てることで、クライアント様へのフィードバックの品質向上にもつながっています。このような事務所全体としての弁護士の生産性アップにつながるサービスは、AI-CON Proをはじめどんどん導入すべきでしょうね。

リモートワークの観点から、AI-CON Proはどういう点がメリットと考えられますか?

契約書レビューは、関連法規の法改正があったり新たな判例が出てきたりしなければ、ベテランになるとAI-CON Proのオプション条文機能や条文解説機能(条文ごとの背景や判例、参考情報など、自社のナレッジや条文修正用の文案をすぐに参照できる)にはそこまで頼らずに済みます。

 ただ、そもそも抱えている案件が多いベテランは、削除条文機能や不足条文機能(契約書に記載が必要な条文が不足しているか、契約書にあってはならない条文が入っているかを検知)を使って、抜け漏れを防ぐことで、レビューの品質低下を抑止し、時間短縮ができるのは強いメリットです。検索機能で他の契約条文を見ている、という使い方をしているベテランもいるでしょう。

一方、若手の弁護士になると、まだまだ引き出しが少ないため、AI-CON Proのオプション条文機能や条文解説機能を使うことで、若手がベテランの知見を追体験できることから、1stのレビュー品質UPに直結します。

弁護士がAI-CON Proを使うことで得られた立場ごとの価値
弁護士がAI-CON Proを使うことで得られた立場ごとの価値

 弊所の場合、リモートワークでもオンラインコミュニケーションツールを使って気軽に所内MTGを行えているので「ちょっと聞きたいことを聞ける」のでよいのですが、大企業の法務担当者になると、リモートワークになったことで気軽に上司や先輩に対してレビューについて相談できない、けれど事業部には早めに返答しないとならない、といった状況が生じ得るかと思います。このような状況に若手担当者をリモートワーク環境下で追い込まないためにも、AI-CON Proはアリなのでは?と考えています。

(後編へ続く)

話し手
弁護士法人GVA法律事務所
パートナー弁護士 小名木 俊太郎様

インタビュアー・編集
GVA TECH株式会社
マーケター 小室 吉隆

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