東急不動産株式会社 法務部 法務グループ 弁護士 大浦様・秋月様に、GVA assist の導入背景や目的をお伺いしました。
貴社の業務内容をお教えください。
東急不動産は、東急不動産ホールディングスグループの中核企業として事業展開する総合不動産企業です。分譲マンション、オフィス、商業施設、シニア住宅、リゾート施設など、不動産事業を総合的に手掛けています。
現在の法務部門の体制やご対応されている業務をお教えください。
法務部は、法務グループとコンプライアンスグループの2グループで構成されています。法務グループの業務はいわゆる“法律相談”業務がメインで、契約書・スキーム検討・トラブル対応・その他の法律相談や、社内向けの法務レター発信や研修(法律講座)などを行っています。
法務グループでは、当初は数名の社員で業務を行っていましたが、年々増加する法律相談へ対応するため、2012年から法律事務所で経験を積んだ弁護士を即戦力として採用を開始しました。現在では5名の社内弁護士を含む8名体制で、日々の業務を処理しています。
取り扱う契約書は、事業内容によって様々です。不動産の売買契約や賃貸借契約をはじめ、建築工事の請負契約や企画推進に関する業務委託契約、管理業務に関するシステム開発契約といった多様な契約書について、年間で1,000通以上相談を受けていると思います。また、グループ会社からの法律相談を一部受けることもあるため、普段の業務時間の5割くらいは契約書レビュー業務に費やしているのが現状です。

法務としての課題感がどういったものかお教えいただけますか?
契約リスクのマネジメントは法務グループに求められている重要な役割ではあるのですが、最近は他にも、会社における新しい取り組みに法的観点から積極的に関与することも期待されるようになってきました。
たとえば、新規事業を立ち上げて成長させる際に問題となり得る関連法規や法的論点のインプットは、新規事業に対して適時に的確なアドバイスをするためにもとても重要な業務なのですが、日々積み重なりつづける法律相談の対応をしながらですと、物理的に時間が足りません。
契約書レビュー以外の「事業の成長を法的側面から積極的に支援する業務」により多くの時間を充てるために、「日常業務内で大きなウェイトを占める契約書レビューにかけている時間を減らしたい」と考え、テクノロジーの導入に至りました。
GVA assist に至った経緯はどういったものでしょうか
当社では、当社のひな形をベースとした契約書の取り交わしが割合としては多いのですが、他社書式での契約書の取り交わしを求められることも一定数あります。
この際に、法務グループ内の誰がレビューをしても、それは事業部からすれば「法務グループとしての回答」ということになりますので、同種の契約において、担当Aがレビューしたときの結果と担当Bがレビューしたときの結果に違いやバラつきがあることは避ける必要があります。
そのため当社では、「当社のひな形と比較して他社書式の契約書にリスクがないか検討する」という方法を以前から一般的に多く行っておりました。また、当社のひな形がない契約類型については、過去にレビューした契約書をふまえて締結内容を検討する必要があります。
その際、当社ひな形では1つの契約類型でも複数の条件分岐や補オプション条項などが存在し、かつ、一部のひな形については解説書も作成しており、情報量がかなりの分量になっています。また、過去の契約書をデータベースから探し出すことが既存のシステムでは実施しづらいという問題も抱えています。
このような中で、レビューの都度、最適な当社ひな形・オプション条項・解説書、過去の契約書をデータベースから見つけ出すといった“作業”にかかる時間を削減し、かつ、見つけ出した多くのファイルを開いた状態で、目で対応関係を見比べてレビューをするという“非効率”を解消したいという想いから、どのようなサービスがあるかを調査し比較検討しました。
その結果、「サービス提供会社が用意した契約書のレビュー基準」での契約書レビュー支援サービスでは当社のニーズは満たせそうになく、当社が蓄積してきたレビュー・ツールをナレッジとして集積・活用することが可能なサービスとして GVA assist にたどり着いた次第です。

GVA assist を使ってみたご感想をお教えください。
直感的に操作できる点がとても良いです。
レビュー対象の契約書に不足している条文がないかどうかをチェックする機能により、抜け漏れをしっかり防げます。また「何度も同じ箇所をチェックしてしまう」といった無駄も、GVA assist の比較機能でなくすことができました。
GVA assist は初期のセッティングがちょっと大変ではあるのですが、それさえ完了すれば、レビュー対象の契約書と自社の契約書レビュー基準が条文ごとに突合して表示されるので、上から順にレビューを進めていくことでスムーズなリスクチェックを行えます。
GVA assist で表示される条文の並び順が、レビュー対象の契約書に合うようになったのは最近ですよね?こういった機能改修がスピーディなのもクラウドサービスならではの良い点だと思っています。
普段使いのツールこそ“使いやすさ”は重要だと考えており、GVA assist はWordアドインによって1画面内で契約書レビューの大半の作業が完結するため、業務負荷は大きく低減できています。
GVA assist に対するご要望や改善点、ご意見などをぜひお聞かせください。
自社の契約書レビュー基準をセットするフローは、やはりもっと楽に作業完了できるようになってもらいたいです。先述のとおり当社は1つの契約類型だけでも多様な分岐や関連情報があるため、それらをセットするのに必要な作業はできるだけ減らしていけたらありがたいです
あとは細かいですが、GVA assist でレビュー対象の契約書と自社の契約書レビュー基準を突合した後、デフォルトで見られるテキストをアカウント毎に変更できるとありがたいです。人によって必ず見たいと思う情報は異なると思いますが、「解説」をまず見たい人、「条文内容(修正条文例)」を見たい人とそれぞれいるはずで、それらを個別に設定変更できたりすると、より使い勝手がよくなると思います。

事例を読まれている方に向けて一言お願いいたします。
GVA assist を使うことで、通常よりも遥かに少ない手間で自社の契約書レビュー基準や関連情報を検索・参照しながらレビューを行えるため、法務担当者の主要業務にかかる時間や手間を大きく削減できます。
また効率化だけでなく、レビュー時のチェック漏れの不安を解消してくれるという点も、法務担当者にかかる心理的負担の低減につながり、生産性UPに直結すると思います。まずは自社での取り扱いが多い契約類型をセットして主要な業務の効率化から着手し、徐々に他の契約類型もセットしていくことで、ナレッジのデータベース化を進めていくことができます。
GVA assist は、導入直後は情報のセットに少し手間取るかもしれませんが、中長期的にみて情報の属人化を減らし会社の法務をより強くするサービスでもあると思います。